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【中華イヤホン FiiO FH3 レビュー】バランスの良い音質と素晴らしいパッケージクオリティ。2万円以下の定番機種
FiiO FH3の概要
こんな人におすすめ
- バランスの良い音質が好み
- ボーカルフォーカスが良いイヤホンが欲しい
- 低域がしっかりしているイヤホンが欲しい
- コスパ重視
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~40000Hz
- インピーダンス:24Ω
- 感度:114dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
長所
- バランスの良い音質
- ライブ感のある低域
- 各音域の分離感が良い
- パッケージクオリティが高い
- ビルドクオリティが高い
短所
- ケーブルのタッチノイズが少しある
- 場合によって目立ちすぎるかもしれない重低域
FiiOについて
2007年の創設以来、FiiOはトップブランドの1つになるために日夜努力を惜しんでいません。かつてはあまり知られていないブランドでしたが、イヤホン好きであれば、いまやFiiOの名を知らない人はいないでしょう。10年以上の懸命な努力を通じて、FiiOは自らのブランドの名前を不朽のものとしました。
FiiOは中国を代表するイヤホン製造メーカーであるだけでなく、アンプや、なによりデジタルオーディオプレーヤーでその名を知られています。2020年はFiiO M15とともに始まったことを覚えていますでしょうか?
FiiO FH3の特徴
FiiOの特許技術「S.Turbo Acoustic Tubeテクノロジー」
FiiOはFH3に独自の特許技術を搭載し、音響的に完璧なサウンドを実現しました。S.Turbo Acoustic Tubeテクノロジーを使用しており、複数のドライバーや不要な高周波による周波数間歪みを効果的に低減する、滑らかなタービン風の音響チューブを使用しています。また、フロントチャンバーとリアチャンバー内の空気圧のバランスを整えるバランスリリーフ技術も搭載しています。これらの技術により、歪みが全くないことを保証し、ユーザーは透明感のある豊かなサウンドを体験することができます。
ハイブリッドセットアップ、ステラソニックパフォーマンス
ベリリウムコーティングされた振動板ダイナミックドライバーユニット1基と、2基のKnowles製バランスドアーマチュアユニットで構成されたトリプルドライバーのハイブリッドセットアップが両サイドに搭載されています。
この2つのユニットは、鮮明で明瞭感のある豊かなサウンドディテールを生み出します。低音域はベリリウムコーティングされたダイナミックドライバーユニットが深いインパクトを与え、中音域は自然なトーンを持つ豊かなボーカルと卓越したアコースティック・ディティールを表現しています。高音域は、大音量でも歪みや刺さりを感じさせず、美しく表現されています。
どのジャンルの音楽にもマッチするようにチューニングされていますので、お好みの音楽に合わせてお楽しみいただけます。
高純度ケーブル
通常、廉価なオーディオ製品のパッケージに同梱されているケーブルは、SPC(銀メッキ銅)ケーブルで構成されています。しかし、FH3では事情が異なり、FiiO FH3には高純度銀コート純単結晶銅ケーブルが同梱されています。このケーブルは、オーディオソースとイヤホン間の信号伝送を妨害することなく、より良い忠実度とマイクロディテールの解決能力を示しています。
パッケージ(9)
パッケージは1万円台としては標準以上です。パッケージングはFiiO製品らしい、わかりやすいものですが、安っぽさはありません。付属品はかなり豪華で、多数のイヤーピース、ペリカンタイプと布製のキャリイングケースが付属します。
ビルドクオリティ(9)
FHシリーズでは一般的な波型デザインの金属筐体を持つ本体のビルドクオリティは良好で、ケーブルクオリティはコネクタに至るまでよくできています。ケーブルはしなやかですが、少しだけ取り回しが硬く、タッチノイズがわずかにあります。
パッケージ開梱動画
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Features:-
- Dual Knowles Balanced Armature Drivers.
- Beryllium-Plated Dynamic Driver Unit.
- S.Turbo Acoustic Tube Design.
- Balanced Pressure Relief Technology.
- Expanded MMCX Connectors.
- High-Purity Silver-Coated Monocrystalline Copper Cable.
- Aerospace-Grade Aluminium-Magnesium Alloy Shells.
FiiO has announced its latest pair of hybrid driver in-ear monitors, the FiiO FH3. It is a feature-rich pair with a three-driver hybrid setup on each side consisting of two Knowles BA units and one Beryllium-plated dynamic driver unit. The pair features rich aerospace-grade aluminum-magnesium alloy ear shells, and a variety of other FiiO Patented features.
装着感(9)
耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
音質
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピース(グレー) S装着時]左右別
- [標準イヤーピース(グレー) S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(グレー) S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース (グレー)S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
サウンドシグネチャー解説
全体を見るとほとんどフラットで、やや中高域が落ち込んだわずかにU字型、あるいはW字型と言えるサウンドシグネチャーをしています。
THD+N特性
THD+N特性は高級イヤホンの場合、1%以内であることが望ましいです。下の図は上が@-40dB(適正音量レベル)における、スイープでの周波数毎のTHD+N特性、下が同条件で1khzでの音量レベルによるTHD+N特性です。このイヤホンはどちらでも概ね1%未満で優秀です。
- THDN平均値:0.187314305%
- THDNL平均値:0.24291575%
- THDNL平均値(-60dB以上):0.229942666666667%
音質解説
音質的にはわりと正統派のモニターサウンドと言え、この価格帯では「迷ったらこれでいい」的なスタンダードな機種としておすすめできそうです。とくにポップスなどボーカル曲中心の人はこれでいいんじゃないでしょうか。
低域(9)
- 原音忠実度:B+
- 臨場感:B+
- 深さ:B+
- 重み:B
- 太さ:B
- 存在感:B+
わりと見通しがよくすっきりした低域です。適度な熱気が感じられ、エレキベースはじんわりして温かいサウンドですが、それほど黒くありません。キックに重厚感はあまりないので、重みのある低域を求める人にはやや物足りない可能性があります。少し重低域のノイズが多めに感じられますが、中域に滲む感じはほとんどありません。低域弦楽は透明感があるサウンドで、少し浮き上がりの良い滾々とした雰囲気を持っています。
中域(9)
- 原音忠実度:B+
- 厚み:B
- 明るさ:B-
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域が前面に出てくるチューニングは下位機種のFH1sと共通の音響設計思想が感じられ、同じ系列の製品であることを思い出させます。しかし、FH1sののびやかで元気な表現に比べて、FH3の中域は安定感の増した、落ち着きと静寂感を重視したものになっており、より充実しています。
たとえば下地紫乃&悠木碧「Harvest Moon Night」を聞くと、ボーカル周辺の背景の静寂感が異なることにすぐ気づくはずで、より雄渾にボーカルがフォーカスされて中域に厚みが感じられるFH3に対して、FH1sではボーカルが上ずって、もう少し清潔な雰囲気で聞こえてきます。ボーカルのボディもFH1sのほうが薄く、明るいですが、少しかさつく感じに思えるに対し、FH3はみずみずしくふくよかに聞こえます。FH1sは子音が尖りがちなのも気になるかもしれません。一般にアコースティックな曲では、FH1sよりはFH3のほうが好ましく思えるでしょう。しかし、よりシャープで引き締まったサウンド、たとえば細くしなるように伸びる雰囲気のバイオリンが好きな場合はFH1sをおすすめします。
高域(8.5)
- 原音忠実度:B-
- 艶やかさ:B-
- 鋭さ:C+
- 脆さ:B
- 荒さ:C
- 繊細さ:B-
- 存在感:B
中高域の後退によって高域は中域とよく分離されており、中域でガチャガチャしません。高域のピーク感によって音にはのびやかさと適度なシャープ感、ほどよいギラつきがもたらされています。ハイハットはわりと粒立ちを強調し、シャカシャカとするところがありますが、一般に目立ちすぎないと思います。しかし、曲によっては高域でややシャギーで音の輪郭が荒れる印象を受けることがあり、たとえばRun Girls, Run!「スノウ・グライダー」を聞いてた時に、この曲にある特徴的な風切り音の演出のピークが強く、やや耳に痛い印象を受けました。
グルーヴ/音場/クリア感
- グルーヴの中心:中域
- 音場:B+
- クリア感:B
FiiO FH3のグルーヴの中心は中域に存在します。
音場は高さと幅は標準的で奥行きと深さに優れているでしょう。
クリア感は平凡ですが、高域と低域で歪みの印象が少なく、印象上は比較的きれいに聞こえます。音量を上げても、歪みは上がりづらく、適正音量では比較的クリアな音楽を聞かせれくれそうです。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:A
FiiO FH3は高域・中域・低域のバランスが良く取れており、中域へのフォーカスも適切な、万能系の音質を持っています。高域・低域ともに中域からほどよく分離的で、全体の見通しが良い印象を与えるでしょう。
重低域がわずかに強くなる傾向があるので、低域のノイズ感を気にする場合だけ、少し注意が必要です。
個人的な好みで言えば、かなりお気に入りの機種で、ライブ感のある低域が楽しく、ボーカルも朗らかに印象的に聞こえるのがとても魅力的です。
音質的な特徴
美点
- バランスの良い音質
- ライブ感のある低域
- 各音域の分離感が良い
- 階層的でレイヤリングの良い低域
- 荒れない高域
- 奥行き感があるサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- ニュアンスが強調され生き生きと聞こえるボーカル
- 見通しの良い中域
欠点
- 場合によって目立ちすぎるかもしれない重低域
- 音場の開放感に欠ける
- 高さに少し欠ける
バランスの良さ
ボーカルフォーカス
ライブ感のある低域
競合機種との聴き比べ
以下の記事で競合機種と聞き比べを行っています。
音楽鑑賞
すぎやまこういち、ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団「エレジー~不思議のほこら」
中域は十分に前に出てくるので、空間は明るく、見通し感に優れています。楽器音は自然な柔らかさのあるしなやかなサウンドで、バイオリンの響きは高域でヒステリックになることはなく、木管にも自然な落ち着きがあります。
厚みはわずかに抑えられている気がするので、濃厚感は少し足りない気もし、リッチ感・豊饒さにやや欠ける印象を受けるのが、好みを分けそうです。
音楽の全体はのびやかで、奥行きがあるので響きに余裕を感じますが、ゆったりしすぎることはありません。全体の音の距離感が均一で、音場は比較的自然に近いです。
重みは悪くないとは思いますが、厚みはやはり少し不足気味に思うので、クラシックに重厚感を求める人にはわずかに軽っぽいサウンドに思えるかもしれません。
大塚利恵「いいよ。」
ボーカルは明るく、ほぼ最前面で聞こえます。そのボーカルを囲むピアノやスネアのサウンドには輪郭に適度な柔らかみがあり、少し嫋やかな調和的な雰囲気が感じられます。
シンバルの響きは適度なギラつきが感じられるので歯切れが感じられますが、エッジには透明感があり、後味にしつこさがなく、すっきりと抜けてくれます。
少し深いところが強調されるライブ感のある低域は音楽に適度な臨場感を感じさせますが、中域とはよく分離されているので、ノイズ感で中域が濁るところはほとんどなく、中域は自然よりは少し清潔に聞こえます。
全体的に女性ボーカルポップスとの相性はなかなか良いように思えます。
Purple「Black Diamond」
高域は派手すぎる感じはありませんが、ギラつきは少し強いので、この曲のエレキギターやシンバルのアグレッシブさはわりときれいに出ます。
ボーカルは明るめでわずかにハスキーに思えますが、それもこの曲の雰囲気に合っている気がします。
中域は広く見通しはよく、パーカッションが少し厚みを抑えて聞こえるので、全体的に少し軽やかなリズム感が感じられ、ノリが良いのも楽しいポイントです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15を用いています。ゲインは低設定で、使用イヤーピースは標準イヤーピースのSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲【原曲】GENS D'ARMES
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】GENS D'ARMES(+5dB@1khz)
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白き魔女(クラシック系)
- 原曲【原曲】白き魔女
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この動画を YouTube で視聴 - FiiO FH3FiiO FH3 白き魔女
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The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲【原曲】The Silver Will -ギンノイシ-
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】The Silver Will -ギンノイシ-(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - FiiO FH3FiiO FH3 The Silver Will -ギンノイシ-
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Sophisticated Fight
- 原曲【原曲】Sophisticated Fight
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】Sophisticated Fight(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - FiiO FH3FiiO FH3 Sophisticated Fight
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浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲【原曲】浮遊大陸アルジェス -Introduction-
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】浮遊大陸アルジェス -Introduction-(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - FiiO FH3FiiO FH3 浮遊大陸アルジェス -Introduction-
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海外のレビューについて
以下の記事にFiiO FH3の海外レビューについてまとめました。
総評
FiiO FH3はボーカルフォーカスの良いフラットに近いサウンドを実現しており、バランスの良いモニターサウンドを求めている人には有力な選択肢です。パッケージングや本体のビルドクオリティ、付属品も値段を考えるととても満足できるレベルで、この価格帯ではかなり有力な選択肢になるはずです。
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