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【中華イヤホン FAudio Scale レビュー】原音忠実性が高い良質なモニターサウンドバランスを持つが、クリア感を考慮すると割高感がぬぐえない
FAudio Scaleの概要
こんな人におすすめ
- 原音忠実性を重視
- クラシック音楽好き
- モニターサウンドが好き
- イヤホンのデザインにこだわる
基本スペック
- 周波数特性:15Hz~20000Hz
- インピーダンス:35Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
長所
- 原音忠実性が高い
- ディテール感のあるサウンド
- 緻密な高域
- パッケージクオリティが高い
- ビルドクオリティが高い
短所
- クリア感に欠ける
- 強気の値段設定
FAudioについて
FAudioあるいはFinesse audioは、2014年に設立された香港のオーディオブランドです。LGエレクトロニクスやボーダフォン、オーディオメーカーの「Miniwatt」などの企業でエンジニアとして経験を積んできたFung Wong氏と、数々の音楽スタジオで活躍するミキシング・エンジニアとしても活躍したKen Lee氏によって設立されました。
ブランドの「F」は「Fantastic(素晴らしい)」「Finesse(精妙)」という意味と創立者であるFung氏の頭文字を掛け合わせたものとされています。FAudioは高い技術力で香港で高い評価を得ており、日本でも多くのファンを獲得している人気ブランドです。
FAudio Scaleの特徴
異なる2種類のフルレンジドライバーを搭載
FAudio Scaleはダイナミックドライバー1基とバランスドアーマチュアドライバー2基を組み合わせたハイブリッドドライバーイヤホンです。その特徴はドライバーごとの音域分割を行っておらず、それぞれのドライバーがフルレンジで使用されていおり、まさに「スケール」感のあるサウンドを実現しているところにあるとされています。
True Crossover Technology (T.C.T)
長期に渡るオーディオ機器の研究開発、OEM事業から得た経験と大手バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーメーカーとの共同開発を経て、BAドライバーをフルレンジで使用し各周波数帯域をチューニングする技法がリスニング上、最も綺麗な周波数を形成し、音源を正確に再生できることをFAudioは発見しました。このFAudio独自のチューニング技法である「True Crossover Tecnology(T.C.T)」は各ドライバーが持つポテンシャルを活かし、低音域から高音域まで非常に豊かなサウンドレンジを実現し、従来までのイヤホンとは異なるFAudioのサウンドを作り出します。
高品質な付属品
付属品には高品質な「Silver Plated Litz Cable」と独自開発のイヤーピース「FA Vocal」と「FA Instrument」が含まれ、さらにステッチが美しい高級感のあるキャリイングケースも含まれます。イヤホンカバーやクリーニングクロス、クリーニングキット、6.35mmヘッドホンプラグ変換アダプタも付属します。
パッケージ(8.5)
パッケージは3万円クラスとしては標準か少し豪華です。デザインは比較的コンパクトですが、イヤホンが収められているレイヤーはアクセサリーボックスのようで高級感が意識されています。開梱体験は比較的シンプルですが、付属品は一通りそろっています。
ビルドクオリティ(8.5)
フェイスプレートは緻密なデザインで非常に美しく、接合面は滑らかにつながっており、ベント穴は後方に設けられています。ラブライドライトのように幻想的な輝きを見せるフェイスプレートは角度を変えて眺めると、キラキラと輝きます。
付属のリッツケーブルはタッチノイズが少なめです。細いケーブルなうえ、コネクタも地味なので一見安っぽく見えますが、実際にはイヤーフックカーブ部分の耳当たりも良く、使い心地は悪くありません。
装着感
耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
BGVP DM8は完璧なパッケージであり、それは美しい外観、強力なサウンドを持っており、お財布に優しい価格で購入可能です。ユーザーは$350でこの素晴らしい製品を手に入れることができ、高品質なオーディオファン向きの音楽パフォーマンスを楽しむことができます。我々は以前、このブランドのDM6、DMG、Zeroや他の製品を試してみましたが、それらはどれも非常によくできていました。
BGVP DM8は滑らかで安定的、温和でウォームなサウンドで、中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。その甘くふっくらとした、ニュアンスの柔らかい調和的なボーカル表現はどこか懐かしく、メロウでノスタルジックな雰囲気があります。マイルドで耳当たりが良く、音量を上げても荒れるところのないイヤホンです。ビルドクオリティやパッケージクオリティも価格の標準以上のため、この価格帯で音楽的な中域を持つイヤホンを探している人の最適解になりえます。
音質
周波数特性
有料noteコンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
有料noteコンテンツになります。
THD+N特性
音質解説
音質的には自由音場フラットを意識したブライト系分析的正統派モニターサウンドです。輪郭感がよく、音がくっきりしており、透明感に優れていて全体的に見通しが良いのが特徴です。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
FAudio公式によると、カスタムIEM版のScaleは低域重視らしいのですが、ユニバーサル版はどちらかというと高域重視のようです。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S+
- 臨場感:B+
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
低域は見通しが良く、かなり深いところまでまっすぐにつながっています。階層性はわかりやすく、高域の強調によって輪郭も強調されているため、タイトでクリアな印象です。ノイズ感は少ないですが、重厚感は強くありません。
エレキベースエッジの輪郭感が良く、ブリブリした感じが強調され、エレキベースの方は生き生きしていますが、深いところで力強さがないので黒みはありません。バスドラムキックは深いところに到達していますが、わずかに軽い印象を受け、リズム感は正確ですが、ライブ感はいまいちに思うかもしれません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は前進的で前面に出てきます。透明度が高く、明度は十分で明るく見通しが良好です。ボーカル上で奥行き感が感じられるため、中域の響きにはわずかに余裕があり、それによって十分に印象付けられます。
高域は少しパワーバランスが強いので、とくに音量を上げると楽器音はアグレッシブにシャリ感が強くなる傾向がありますが、ボーカルはそれほどシャウティにならず、聴き心地は比較的安定しています。
高域(9.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
高域の強調によって、とくに楽器音のエッジ感は少し目立ちます。マイクロディテールも強調されており、ギラつきもやや強く、高域は輝度が高いので、中域から高域の付近でコントラスト感が高まる感覚があります。
シャープネスの高さと高い明度は解像感を高め、かなり音の印象をくっきりしたものにさせます。輪郭ははっきりしているので、人によっては少し音が硬い印象を受けるかもしれません。しかし、質感的な硬さは強くないので、聞き苦しい感じはありません。
グルーヴ/音場/クリア感
- グルーヴの中心:中域
- 音場:B
- クリア感:B-
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B+
FAudio Scaleのグルーヴの中心は中域に存在します。
音場は高さ、奥行きが平均的です。幅と深さは少し優れている感じがあります。
クリア感は標準化少し良いくらいです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:B+
FAudio Scaleは忠実度の高いモニターサウンドを持っており、ディテール感が高く、解像度の点で優れています。全体的にくっきりした印象を持つサウンドを持っており、音楽の全体像を把握しやすいうえ、モニターサウンドにありがちな硬い印象はうまく抑えられており、聴き心地の点でも安定しています。
しかし、おそらくDDとBAがともに全音域を担当しているというその特徴によるのか、理由はよくわかりませんが、競合に比べると、クリア感は少し不足しているように感じられます。同じハイブリッド構成であるFiiO FH3と聞き比べるとFH3のほうが明らかに静寂な背景を持っており、付帯音が少なく、音像印象の透明度が高いことがわかるでしょう。
FiiO FH3のサウンドはScaleほど原音忠実ではありませんが、半額以下で買え、ビルドクオリティで劣らず、サウンドパフォーマンスで勝っているために、Scaleよりは強く推奨されます。また拡散音場的ですが、同じようにフラット系でScaleより歪みの少ない音を持つTANCHJIM HANAもやはりScaleより推奨されます。Scaleの価格はFH3とHANAの合計額とほぼ等しいので、これらを無視してあえてScaleを買うことは若干分が悪い取引に思えます。
それでもなお、Scaleのモニターサウンドを選ぶべき理由はありますし、Scaleには魅力的なパッケージとデザインがあることは事実でしょう。
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- 見通しの良いサウンド
- くっきり感がある
- 階層的でレイヤリングの良い低域
- ディテール感のあるサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 自然な質感
- しゃっきりしている
- 正統派モニターサウンド
欠点
- おとなしい低域
- 分離感がいまいち
原音忠実
くっきり感がある
音の質感が自然
音楽鑑賞
すぎやまこういち、ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団「栄光への戦い」
中域に自然なみずみずしさがあるので、クラシック音楽を十分に楽しめます。重厚感は少し足りない気もしますが、深くまで音が出ているので、臨場感は比較的しっかりしています。それでも少し音が前かがみで、高域が派手に強調されやすく、金管をはじめ全体的にアグレッシブなところがありますが、定位感は良好で、十分にフルオーケストラを楽しめます。
ただし低域の量感的な不足は音楽の深みに物足りなさを抱かせるところがあり、のびやかな雄大さはあるにしても重厚味のある壮大さに欠ける印象を与え、生々しさの点でいまいちと思うところがあるかもしれません。
石原夏織「虹のソルフェージュ」
この曲は妙にボーカル付近に音数が多く、個人的にはうるさく聞こえやすいので、しっかり聞くのにわりと苦労する曲です。ドンシャリ系のイヤホンで聴くと音数の多いあたりが整理されて聞こえるのですが、フラット系とは相性が悪い気がします。
そんななか、Scaleはボーカルフォーカスが確かで、輪郭感もわりとしっかりしているので健闘している印象を受けます。それでも音数が多くなるサビ付近では、クリア感の不足によって、音がすこし処理しきれていない感じを受けます。このことからわかるのは、Scaleは優れたモニターサウンドバランスを持っているのですが、DTMに使うにはとくに分離感が不足している感じがあるということです。たとえばYAMAHA HPH-MT8であれば、この曲をモニターするのに不足は感じないでしょう。
ROUND TABLE featuring Nino「夏待ち」
全体印象は明るく、見通し感が良く、この曲のみずみずしい雰囲気を丁寧に描き出してくれます。アコースティックギターのエッジ感はギラつきやシャープ感も優れていて、精彩があり、色彩感は十分です。のびやかなバイオリンの描くゆったりとした空間軸と、少しアタックの強いスネアがキレのあるリズムで刻む時間軸のコントラスト感もよく、この曲の魅力をかなり引き出しており、満足感は高いです。
付帯音が多く、背景が少し明るすぎるのが音像印象の締まりを悪くしてしまっている感じがあるところが残念です。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15を用いています。ゲインは低設定で、使用イヤーピースは標準イヤーピース(白)のSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Scale
総評
FAudio Scaleは自由音場フラットに基づくブライトで分析的な正統派モニターサウンドを持っています。原音忠実性がかなり高く、実用的で万能に近いイヤホンですが、中域のクリア感でわずかに劣るので音像印象の明晰性で些か不足を感じるのが非常に惜しいところです。ビルドクオリティやパッケージクオリティは悪くありませんが、より安い値段で手に入る競合機種に対して価格競争力の点で劣る印象を受けるところが難しいポイントです。分析的なモニターサウンドとデザインが気に入ったなら悪くない選択肢ですが、購入するのはFiiO FH3とTANCHJIM HANAを検討してからでも遅くはないでしょう。
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