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【中華イヤホン FAudio Passion レビュー】光沢感のある艶やかな中高域をしっかり聞かせるイヤホン。シンセ音がきれいで緻密なテクノサウンドを楽しませてくれる
FAudio Passionの概要
こんな人におすすめ
- スマホでも鳴らせるイヤホンが欲しい
- 上品で聞き心地の良いサウンドを楽しみたい
- 温かみのあるサウンドが好き
- しみじみとした音楽が好き
基本スペック
- 周波数特性:15hz-22khz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:2pin 0.78mm
長所
- 中域への適切なフォーカス
- 艶やかで印象的な中高域
- 緻密で少し情報量が多い
- 音像が安定していて、わかりやすい定位
- 清潔感と色気のあるボーカル
- ウォームで聴き心地が良い
- デジタル的でクリアな印象
- 良好なビルドクオリティ
短所
- 中域に音が集まりやすい
- 平面的に聞こえるサウンド
- 音場の拡張性に欠ける
FAudioについて
FAudioあるいはFinesse audioは、2014年に設立された香港のオーディオブランドです。LGエレクトロニクスやボーダフォン、オーディオメーカーの「Miniwatt」などの企業でエンジニアとして経験を積んできたFung Wong氏と、数々の音楽スタジオで活躍するミキシング・エンジニアとしても活躍したKen Lee氏によって設立されました。
ブランドの「F」は「Fantastic(素晴らしい)」「Finesse(精妙)」という意味と創立者であるFung氏の頭文字を掛け合わせたものとされています。FAudioは高い技術力で香港で高い評価を得ており、日本でも多くのファンを獲得している人気ブランドです。
FAudio Passionの特徴
自社開発のメディカルファイバー素材ダイヤフラム
ダイナミック型イヤホンのサウンドを決定づける上で要となるダイナミック型ドライバーには、FAudioが独自に設計、開発した新素材のメディカルファイバー振動板(ダイヤフラム)を採用しました。この新素材のダイヤフラムは、人間の皮膚ように柔らかく、薄い、医療用グレードのファイバー素材です。軽量性、減衰性を高めることで、従来までのダイナミック型イヤホンとは全く異なるサウンドを実現し、そのサウンドはよりタイトでアタック感のある低域を奏で、FAudioにしかできない特別なサウンドデザインに仕上げました。
トリプル・アコースティックチャンバー構造(T.B.A.C)
ドライバーチューニングの要となるイヤホン筐体の構造は、スピーカーで例えるところのエンクロージャーのように、緻密に計算を行っています。堅牢なアルミニウム合金製のイヤホン筐体には、ドライバーチューニングを担う3つのアコースティックチャンバー(空気室)が搭載されています。2つのアコースティックチャンバーはハウジングの容積を最適化し、イヤホン筐体内のエアーフローをコントロールすることで、搭載したダイナミック型ドライバーのポテンシャルを引き出します。絶妙に動作がコントロールされたダイナミック型ドライバーは低域から高域まで余すことなく再現度が増し、素晴らしいサウンドを奏でます。最後のアコースティックチャンバーは音導管(サウンドチューブ)に採用され、鼓膜やドライバーににかかる空気圧をコントロールすることで、低音域の解像度を向上させます。
アルミニウム合金筐体 + ステンレススティール製音導管
イヤホンの筐体は、常に細心の注意を払って作られています。筐体には極めて堅牢な6061-T6 アルミニウム合金を使用し、最新のCNCマシンにて精密に成型されます。堅牢なアルミニウムのブロックをCNCマシンにより削りだすことで、共振が少なく、エンクロージャーとして高品質のサウンドを実現できる筐体が完成します。またイヤホン筐体の形状は、長時間リスニングしていても疲れにくい人間工学に基づいた形状を採用し、この筐体デザインを完成させるために多くの研究開発費、そして時間を費やしています。サウンドチューニングにも深く関わる音導管には、ステンレススティール製の音導管を採用。素材特有の音鳴りを防ぎ、低歪で原音に近いサウンドを届けてくれます。
銀メッキ銅導体のイヤホンケーブル
付属のイヤホンケーブルは4本の銀メッキ銅導体から作られ、ジャケット(被覆)には優れた耐久性、耐酸化性をもつ医療用グレードのPVCジャケットを採用。このイヤホンケーブルには数多のケーブルデザインの中でも広く支持されているケーブルデザインを採用しており、取り回しが良く、しなやかで柔軟性があります。イヤホン端子は、金メッキが施されたベリリウム銅製カスタム2pin端子を採用。導電性が高く、リケーブルも行いやすい、広く定評のある端子を採用しています。
独自開発のオリジナルシリコンイヤーチップ
Audioでは、自社のユニバーサルイヤホン向けに独自開発のシリコンイヤーチップを用意しています。「FA Vocal」は名称のとおり、ボーカルラインの聴こえを良くするための細工がイヤーチップに施してあり、ノズルの長さや内壁のコーティングを変えることで、特別なチューニングに仕上げています。もう一つの「FA Instrument」は、楽器の音にフォーカスしたチューニングに仕上げており、タイトな低域が特徴的です。
パッケージ(8.5)
パッケージ自体はもう捨てたんで、よく覚えてませんが、以前のレビュー記事によると、付属品は細かく揃っています。
付属品はイヤーピースの替え、3.5mm→6.3mm変換アダプタ、クリーニングクロス、クリーニングブラシ、キャリイングケース、ポーチなどです。イヤピは3種類付属し、FA VocalとFA Instrumentと低反発フォームタイプが付属します。
ビルドクオリティ(9.0)
イヤホン本体のビルドクオリティはかなり良好です。アルミニウム合金の筐体は頑丈で高級感もあります。
装着感(8.5)
筐体はコンパクトで耳への収まりは良く、遮音性も良好です。厚みはかなり少ないですが、少し後方のでっぱりが多いので、かなり小さめの耳の人だと収まりが悪い可能性がありますが、一般的には問題を感じることはないでしょう。
音質
周波数特性
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD+N特性
制動
FAudio Passionは出力インピーダンスがかなり高いヘッドホンアンプと組み合わせた場合でも、制動はよく維持されるようです。
詳しい測定値については有料記事に掲載しております。
ラウドネスステータス
音質解説
FAudio Passionは比較的バランスが取れたサウンドを持っており、少しウォームな雰囲気の中で、艶やかな中高域をきれいに聴かせるイヤホンです。女声ボーカルは生き生きと美しく聞こえるでしょう。アコースティックギターのエッジはカリッとした感じです。
低域(8.5)
- 原音忠実度:B
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B+
Passionの低域は適度に深みのある階層性を持ちつつ、中域とのつながりもよい、リラックスしたサウンドを持っています。
音量を上げると量感的には少し目立つかもしれず、ロックでバスドラムキックがドカつく傾向があります。このあたりのパワフルさを肯定的に評価するか、少し重たすぎると感じるかで評価は分かれるかもしれません。
低域は少し重みが強く、ボトムがしっかりしたサウンドで安定感があります。バスドラムは少しブーミーで、エレキベースとの描き分けもそれほど明瞭ではありません。
とはいえ、ランブルやサンプは強すぎないので、普通の人が聞いてもうるさすぎる感じはないでしょう。中域とつながりがよく、曲によってエレキベースの熱気がボーカル下に少し滲みだす感じはあります。
中域(9.0)
- 原音忠実度:B
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
FAudio Passionの中域はやや平面的で少し狭く、中高域の音がボーカルに被さってきやすいところがありますが、ぎらついた金属光沢感のあるエッジーで艶やかなサウンドが楽しめます。
アコースティックギターのエッジはキラキラというよりはギラギラ、ギザギザといった感じで、やや硬めに輪郭をしっかり聞かせます。
やや光沢感が強いので、中域は全体の中では少し明るく聞こえますが、全体の明度自体はそれほど高くないようなので、私の中ではなんとなくネオンサインのような雰囲気の明るさに聞こえます。
ボーカルは軸が立っており、少し歯擦音が強く聞こえますが、全体的に清楚に聞こえます。ただ少し媚びて色気を出す感じがあり、やや作為的な雰囲気はあります。また息のスーハーが少し強調される感じがあるので、わずかにハスキーに思えるかもしれません。
少し音がボーカル周辺に集まりやすいところがあります。
高域(9.0)
- 原音忠実度:B
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B-
- 脆さ:B+
- 荒さ:C+
- 繊細さ:C+
- 存在感:B
中高域が聞き取りやすく、くっきりした発色の良い高域です。
若干金細工のようにギラギラジャリジャリといた金属光沢感が少し強いところはあります。中域とはバランスが取れているため、耳障りな要素はほとんどありません。
わりと音像が安定している高域なので、音離れが良く、エッジもしっかりしているので、定位がわかりやすく、緻密な印象を受けます。人によってはモニター的に感じるかもしれません。
また、カリカリした音に聞こえるのが気になる人もいるでしょう。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音響的焦点:中域上部~高域
- 音場:B+
- クリア感:A
FAudio Passionの音響的焦点は中域上部~高域に存在します。
音場は深さで平凡、高さで平凡、奥行きはわずかに広いような印象です。やや平面的で自由音場的に聞こえ、中域に少し音が集まる傾向があります。
クリア感はなかなか優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:A
中高域付近の緻密な感じがチャームポイントなイヤホンです。人によっては少し金属的な響きに聞こえやすいですが、ウォームで聴き心地が安定しているので、その金属的な雰囲気が露骨に不快ということはたぶんほとんどないでしょう。
個人的にはEDMやテクノをこのイヤホンで聞くのがわりと好きで、アコースティックギター弾き語りのような曲でも色気のあるサウンドを出してくれるので好きです。少し鼻にかかるような媚びた女声ボーカルもわりと魅力的に聞こえます。
音質的な特徴
美点
- 中域への適切なフォーカス
- 艶やかで印象的な中高域
- 緻密で少し情報量が多い
- 音像が安定していて、わかりやすい定位
- 清潔感と色気のあるボーカル
- ウォームで聴き心地が良い
- デジタル的でクリアな印象
欠点
- 中域に音が集まりやすい
- 平面的に聞こえるサウンド
- 音場の拡張性に欠ける
艶やかな中高域
安定した音像
少し稠密で情報量が多い
音楽鑑賞
Aimer「ポラリス」
個人的にAimerでは大好きな曲の一つです。
さて、Passionは音楽の全体像が比較的一定のフレームに収まって聞きやすいです。しかし、ボーカルのすぐ近くでギラギラしたシンバルが聞こえる感じがあるので、やや空間的な余裕が足りないように思えるところはあります。
またエレキギターのエッジは印象的に強調されて聞こえるのですが、響き方が少し安定的で、のびやかさや奥行き感に欠け、少し表現が平面的になっている印象を受けます。
そのため、私の印象ではわりとモニター的なサウンドに聞こえるところがあります。あと子音がやはり少し尖るかな。ツ音が目立ちすぎている気がします。少し唾が多いように聞こえるかな。
久石譲&ワンダーシティ・オーケストラ「Tango X.T.C.」
FAudio Passionは少し明るい雰囲気で中高域が迫ってくるように聞こえるので、わりと没入感があります。
この音源はオーケストラの実際の生演奏の録音なのですが、音場はかなり明るく聞こえます。
ピアノやバイオリン、木管音などの艶が強く、鮮烈ですが、質感が少しツルツルしていて、ややデジタル的に聞こえます。印象的なクリア感はかなり高いですが、ややコンピュータ的に聞こえ、質感に生々しさが少し足りなく思えるかもしれません。
東京ザヴィヌルバッハ「Sagittarius」
わりと好きなエレクトロJAZZです。
このイヤホンは中高域の電子音のあたりをかなりはっきりと、光沢がしっかりした明度のあるサウンドで聴かせるので、緻密なこの曲の細部を丁寧に味わえます。
ややキーボードが派手に聞こえるので、曲全体の静寂感は若干減ってしまうところがあるかもしれませんが、電子音を中心にキレイな印象で聴きたいならおすすめできます。
BGVP DM8は完璧なパッケージであり、それは美しい外観、強力なサウンドを持っており、お財布に優しい価格で購入可能です。ユーザーは$350でこの素晴らしい製品を手に入れることができ、高品質なオーディオファン向きの音楽パフォーマンスを楽しむことができます。我々は以前、このブランドのDM6、DMG、Zeroや他の製品を試してみましたが、それらはどれも非常によくできていました。
BGVP DM8は滑らかで安定的、温和でウォームなサウンドで、中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。その甘くふっくらとした、ニュアンスの柔らかい調和的なボーカル表現はどこか懐かしく、メロウでノスタルジックな雰囲気があります。マイルドで耳当たりが良く、音量を上げても荒れるところのないイヤホンです。ビルドクオリティやパッケージクオリティも価格の標準以上のため、この価格帯で音楽的な中域を持つイヤホンを探している人の最適解になりえます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio AmariとRME ADI-2 Pro FS R Black Editionを用いています。使用イヤーピースは標準イヤーピース(ブラック)のSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Passion(RME ADI 2 pro FS R BE)
- FAudio Passion(Antelope Audio Amari)
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Passion(RME ADI 2 pro FS R BE)
- FAudio Passion(Antelope Audio Amari)
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Passion(RME ADI 2 pro FS R BE)
- FAudio Passion(Antelope Audio Amari)
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Passion(RME ADI 2 pro FS R BE)
- FAudio Passion(Antelope Audio Amari)
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- FAudio Passion(RME ADI 2 pro FS R BE)
- FAudio Passion(Antelope Audio Amari)
総評
FAudio Passionは中高域を鮮やかに聴かせる印象的なイヤホンです。それは音像を安定的にわかりやすく描写し、少し平面的な音場に明るく、把握しやすい形でディテールを再現してくれます。ただし、中高域の発色は非常にキレイですが、質感的にはツルツルしやすく、少しデジタルに聞こえやすいところがあるかもしれません。あるいは時々金属的な雰囲気を強調しているように感じられるのが好みを分けそうです。
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