免責事項
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Edifier STAX Spirit S3の概要
こんな人におすすめ
- 音の自然な実在感を重視
- 音像一貫性を重視
- 滑らかでスムーズなサウンドが好き
- ボーカル再現度にこだわりがある
- 倍音表現にこだわりがある
- 空間性重視
- 携行性重視
- バッテリー性能重視
- 通信品質重視
- コスパ重視
基本スペック
- 連続再生時間:80時間
- 防水性能:なし
- 対応コーデック:Snapdragon Sound対応/Apt X Adaptive/AptX HD/AptX/AAC/SBC
- 価格帯:30000円~50000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:11.0/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:9.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
長所
- 非常に優れた高域拡張性
- 優れた原音忠実性
- 一貫した位相特性
- 音像一貫性が高い
- 高い実在感
- ほぼ完全なスピーカーサウンドの再現
- 3種類のサウンド
- 良好な通信品質
- 携行性に優れる
短所
- 自由にイコライジングできない
- 低域の深さに欠ける
- 強いて言えば、中域はもう少し作り込めるかもしれない
Edifier STAX Spirit S3の特徴
- 【没入型オーディオ体験】Edifier新開発の平面磁界駆動により、臨場感あふれる映画のサウンドをお楽しみいただけます。AUDEZE平面型ヘッドホン技術の基礎の上で更にEqualMasstm配線振動板特許技術を開発して、真実でまろやかな音色を還元して、音楽の原始的な魅力を保留して、音の本質を実感します。Uniforce磁気回路技術、可変線幅と密度の設計、電磁誘導力を正確に調整し、ダイアフラム全体に均一なドライブ力を提供し、0.5%近くの歪みを実現します。
- 【ロスレス ハイフィデリティ】VGP2022 SUMMER金賞と企画賞を受賞した[Edifier STAX Spirit S3平面磁界駆動型ヘッドホン]は、Snapdragonオーディオ技術の組み合わせによってもたらされるオーディオ性能によって、オーディオファンをも驚かせます。3つの特許取得済み平面ドライバーソリューション、Hi-Resオーディオ認証により、超ワイド周波数応答(10Hzから40kHzに拡張可能)、よりクリアなサウンド、より高い解像度、より優れたイメージングを備えます。専用のオーディオシステムを搭載したプロのレコーディングのようなものです。
- 【Bluetooth 5.2&低遅延】最新のワイヤレス技術であるBluetooth 5.2を採用し、伝送速度の高速化とワイヤレス機能を実現し、携帯性も高めています。2台のBluetoothデバイスのペアリングに対応、音楽鑑賞、映画鑑賞、ゲームなど、さまざまなシーンを自由に切り替えることができます。高音質で低遅延なワイヤレス技術で、映画やゲームプレイ時音声がストレスフリーにシンクロします。
- 【最大80時間連続再生&APP機能拡張】大容量電池のバッテリー再生時間は最大80時間で、10分の充電で11時間使用できるので、長時間音楽を聴くことが可能です。専用アプリ「Edifier Connect」では、ペアリング接続や各種イヤホン設定を自分好みにカスタマイズすることができます。
- 【軽量&快適な装着感】カーボンファイバー素材を使用し、製品の軽量化を図っています。総重量は約329gで、従来の平面磁界駆動型ヘッドホンよりも大幅に軽量です。手作りのイヤーパッド、革製のヘッドバンド、及び冷却ジェル注入型イヤークッションは、涼しく、通気性があり、長時間着用しても快適です。仕事や旅行に最適です。
パッケージ(8.5)
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
平面駆動型ユニットを搭載していますが、本体はだいぶ軽量です。
イヤーパッドはレザー調とメッシュタイプの2種類が用意されており、用途や季節に合わせて使い分けできます。
接続品質
aptX HDでCayin N6II/E02と接続してテストしました。接続品質は優秀です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟んでも問題なく音楽を聴くことができます。
バックグラウンドノイズは少しあるかもしれませんが、ほとんど気になりません。
アプリ
EDIFIER CONNECTに対応しています。
EDIFIER CONNECTアプリで可能なこと
- EQプリセットの切替(ユーザーEQカスタイマイズはありません)
- ゲームモードの切り替え
- ファームウェアアップデート
- ペアリング解除
- ファクトリーリセット
- デバイス情報の確認
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
音質解説
今回はaptX HDでFiiO M15につないでレビューしています。
Edifier STAX Spirit S3は標準のクラシックモードで非常に原音忠実性が高く、理想的なフラットスピーカーに近いサウンドを提供します。とくに高域がよく拡張されており、ハイエンドスピーカー並みのスケール感が表現できます。
さらに高域をのびやかに聴きたい場合はHiFiモードかSTAXモードにすることでより開放的なサウンドを体験できるでしょう。大雑把に言うと、STAXモードはより中高域重視で中域を明るくし、HiFiモードはより奥行きと立体感、繊細さを重視したサウンドになります。
以下のレビューの評価値はクラシックモードを基本とし、カッコ内は(STAXモード/HiFiモード)の評価値を記載しています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:A+(A+/A+)
- 臨場感:C+(C/C+)
- 深さ:B(B-/B)
- 重み:B+(B/B)
- 太さ:B(B/B)
- 存在感:B-(C/B-)
低域はどのモードでも浅めで、全体の中で主張しません。どのモードでも存在感は中域より抑えられており、美しく透明度の高い中域をそっと支えるバランスになっています。
低域の存在感を最も味わいたいならクラシックモードがおすすめですが、クラシックモードでもエレキベースは明らかに明るく、バスドラムキックもインパクトは抑えめで優しいバランスです。トンタンした軽やかなステップでリズムが楽しめますが、どっしりしたサウンドが好きな人には向きません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S(S/S)
- 厚み:B+(B+/B+)
- 明るさ:A-(A-/A-)
- 硬さ:B+(A-/B+)
- 存在感:B(B/B)
中域は原音忠実度が高く、ニュートラルよりはフラットで、スピーカーに寄せたサウンドになっています。
どのモードでもほぼ完全にスピーカーサウンドが再現されますが、STAXモードはより硬くモニターに寄せたソリッドなサウンドで、明るさが増します。子音が強調されるので、ボーカルにフォーカスを寄せたい場合はSTAXモードがよさそうですね。
HiFiモードは定位感がはっきりし、こちらもよりモニター的になります。STAXモードが明るさ重視なら、こちらは繊細さをより重視した鮮明感重視のサウンドで粒度の細かいサウンドが好きなら、こちらがおすすめです。個人的にはSTAXモードよりSTAXっぽい気がします。
クラシックモードは最も質感の再現が自然で、中域を重視する場合はこのモードがおすすめです。すべてのモードで最も中域に寄っており、抜けはほかの2つのモードより悪いですが、それでも市販されているほぼすべてのヘッドホンを凌駕しているため、気にならないでしょう。クラシック音楽を楽しむ場合、HiFiモードとどちらが優れているかは難しいところですが、室内楽はこちらが良いんじゃないでしょうか。
高域(11.0)
- 原音忠実度:A(B-/B+)
- 艶やかさ:B+(A-/B+)
- 鋭さ:B+(B+/B+)
- 脆さ:C+(B-/B-)
- 荒さ:C(C/C+)
- 繊細さ:C+(C+/C+)
- 存在感:C(C/C+)
STAX Spirit S3の真骨頂は平面駆動型の利点を最大限活用した、現状最高クラスの高域表現力にあります。
音場は完全に開放されており、音はのびやかで実在感に優れ、ウルトラハイエンド並のサウンドを提供します。一聴してわかる音の広がりの良さですが、とくにわかりやすいのはボーカルでしょう。どんな曲でもすっきりと声が伸び、耳に残る感じがなく、自然に消失していく抜けが味わえます。バイオリンや木管も完全に伸び切り、際の際まで、空間に消え入る瞬間まで聴くことができる感覚があります。とくにHiFiモードはより繊細で粒子が細かく、空気感の再現度は価格を完全に2クラスくらい超越しています。
定位/質感
- 質感の正確性:A+(B+/A)
- 定位の正確性:C+(C+/B)
- オーケストラのテクスチャ:S
- 雅楽のテクスチャ:S
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
優れた空気感表現であらゆるフルオーケストラが価格帯を超越した実在感で聞こえますが、クラシック向きと言えるのはクラシックモードかHiFiモードです。定位とスケール感、繊細さ、ダイナミズムを重視するならHiFiモードで、より重厚感と中域の質感の正確性を重視するならクラシックモードがおすすめです。
篳篥の広い音域をほぼ完全にイメージングできるため、生々しさが別次元です。和音はクラシックモードではわずかにギンギンする感じがあるので、HiFiモードの方が抜けが良くて、耳にうるさい感じがなく好きですね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:A
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:C+
- 中域:A-
- 低域:A-
低域の深さは物足りません。中域は最前面近くにあり、高さはウルトラハイエンドクラスです。
クリア感は価格を考えると標準以上です。
解像度は価格を考えると標準以上です。ただし中域以上はかなり優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:S-(A+/S-)
- おすすめ度:S+
- 個人的な好み:S+
Edifier STAX Spirit S3はEdifierの意欲作で、ウルトラハイエンドクラスのサウンドをミドルハイクラスのワイヤレスヘッドホンで半ば実現したという驚異のヘッドホンです。
もちろんオーディオスペックの一部は価格なりなところもあるものの(と言っても5万円クラスとして不足しているところはほぼありませんが)、平面駆動型特有の一貫性のある位相特性を持ち、超高域までスムーズに伸びるサウンドは平面駆動型の名機として名高いHiFiMAN Aryaのような定番ヘッドホンすら凌駕します。
ワイヤレスの密閉型でここまで素晴らしい高域再現性を実現している機種はなかなかないでしょう。それだけで一聴の価値があります。
音質的な特徴
美点
- 非常に優れた高域拡張性
- 優れた原音忠実性
- 一貫した位相特性
- 音像一貫性が高い
- 高い実在感
- ほぼ完全なスピーカーサウンドの再現
- 3種類のサウンド
欠点
- 自由にイコライジングできない
- 低域の深さに欠ける
- 強いて言えば、中域はもう少し作り込めるかもしれない
優れた原音忠実性
非常に優れた実在感
優れた音像一貫性
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用い、FiiO BTA30を使って、aptX HDでワイヤレス伝送しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Edifier STAX Spirit S3(クラシックモード)
- Edifier STAX Spirit S3(STAXモード)
- Edifier STAX Spirit S3(HiFiモード)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Edifier STAX Spirit S3(クラシックモード)
- Edifier STAX Spirit S3(STAXモード)
- Edifier STAX Spirit S3(HiFiモード)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Edifier STAX Spirit S3(クラシックモード)
- Edifier STAX Spirit S3(STAXモード)
- Edifier STAX Spirit S3(HiFiモード)
総評
Edifier STAX Spirit S3は約5万円というミドルハイ程度の価格設定がされている機種ですが、音質的には半ばウルトラハイエンド並のサウンドを実現しています。使い勝手も素晴らしく、連続再生時間は80時間、充電効率も優秀で、コンパクトに折りたためるため、持ち運びも快適です。
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