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DUNU FALCON PROの概要
こんな人におすすめ
- 濃厚感のある音が好き
- 高域に敏感
- ウォームな音が好き
基本スペック
- 周波数特性:5Hz~40kHz
- インピーダンス:26Ω
- 感度:112dB
- ケーブルコネクタ:MMCX
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:9.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.0/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンボーナス:11.0/10.0
長所
- ウォームで聴き心地が良い
- 奥行き感のあるサウンド
- ノスタルジック
- 濃厚感がある
- 解像度に優れる
- 落ち着きがある
- マイルド
- 優れたビルドクオリティ
短所
- 癖が強いサウンド
- ぼんやりして聞こえやすい
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- ブーミーな低域
- 音像一貫性に欠ける
- 人によっては濁って聞こえる音
- ぼわつく低域
- 爽快感に欠ける
DUNU FALCON PROの特徴
FALCON PROは、大胆に飛躍した316ステンレスのハウジングを採用し鏡のような輝きに磨き上げました。ベベル(斜面)はサンドブラストを施し、ヴィンテージロゴをモチーフにしたつや消し加工を施しています。
またDUNUが特許を取得している、新ダイナミックドライバシステムECLIPSƎドライバを搭載し、1.6テスラに到達する高磁力を実現しました。
新技術としてクイックスイッチングモジュラーシステムを進化させたQ-Liteを採用し、標準で2.5mmバランス、3.5mmアンバランス、4.4mmバランスプラグを同梱し、様々な再生環境に対応しています。
ノズル交換システムを採用し、3種類の音響効果の異なるノズルが付属しています。
パッケージ(8.5)
パッケージはシンプルですが、付属品はかなり多く、豪華です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- チューニングノズル
- イヤーピース
- キャリングポーチ
- 説明書など
ビルドクオリティ(9.5)
外観のビルドクオリティは価格帯の水準以上です。ブランド品のように美しい造形です。
装着感(8.5)
コンパクトで耳が小さい人も快適だと思われます。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
DUNU FALCON PROは出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
DUNU FALCON PROは低域の存在感が強く、ウォームなサウンドを持つV字型のシグネチャーを持っています。中低域の膨張が大きく、中域の音像に少し悪影響が出ているため、一般に中域の正確性にこだわりを持つオーディオマニア向きとは言い難いサウンドです。
今回はリファレンスノズルで標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A
- 太さ:A
- 存在感:A+
低域は全体の中で存在感が強く、力感が豊かで、太く重厚です。
中低域のあたりで膨張感を感じやすく、ドラムキックはややボンボンした緩い輪郭感で聞こえやすいところがあります。エレキベースもブリブリした印象で聞こえる熱気の強い広がって聞こえる音です。豊満に聞こえるので包容感がありますが、その量に対して深さが足りていないため、引き締まりに欠けます。
中域(8.0)
- 原音忠実度:B+
- 厚み:A-
- 明るさ:B
- 硬さ:B-
- 存在感:B
中域は厚みが強調されており、ウォーム感があります。
中低域から中域下部にかけての強い膨張感は低域の音が中域に滲み出し、音像がぼやける原因になっています。中域の透明度は率直に言ってよいとは言えないため、あまりオーディオマニア向きとは言えません。
ボーカル表現はふっくらしており、甘みがあってノスタルジックに聞こえますが、ぼんやり感が強めで、お風呂場で歌っているように聞こえるかもしれません。声の軸も太く聞こえます。また女声ボーカルが少し暗く、男性的に思える可能性があります。
高域(7.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B-
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
高域はマイルドにロールオフするように調整されており、一般に輝度は抑えめです。
輝度の不足が音場の全体を暗く聴かせます。歯擦音の刺さり感は抑えられているため、高域に敏感な人には快適な高域ですが、マイクロディテールに不足が出やすく、鮮明感も不足しがちです。
中低域の強さと相まって、音楽の全体像はぼんやりしがちですが、解像度自体が悪いわけではありません。
高域は拡張性も不足しがちで、ハイハットやバイオリンは高くまで伸び広がることはありません。爽快感には欠けるでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:C+
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:C
- 雅楽のテクスチャ:C
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
暗く落ち着いた、濃厚なフルオーケストラが楽しめます。中域はぼんやりしており、定位感も曖昧で、響きが強めです。空気感も悪いため、フルオケを聞いていると言うより、フルオケの演奏をしている映像の音を聞いているような感覚を覚えます。要は音に生々しい鮮度が感じられません。
篳篥の音、和音ほとんどすべての音がぼんやりしており、響きが強めです。夏の宵のような暗い、風流な雰囲気があるので個人的には好きですが、音の引き締まりが悪く、演奏の機微がわかりづらい音です。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:B-
中域に奥行き感があり、広く聞こえますが、深さと高さは不足しています。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:B
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
DUNU FALCON PROはウォームなサウンドが好きなマイルドリスニングを好むオーディオファン向きです。ノズルを変更しても分厚く温かみの強い傾向自体に変化がないため、中域の音像の改善はほとんど見込めません。したがって、原音忠実主義者や中域の音像にこだわるオーディオマニア向きとは言えません。ちなみに私の好みはトランスペアレンシーノズルです。
同じ価格帯には同じようにチューニングシステムを備えたMoondrop KATOとBQEYZ Autumnがあります。個人的にはKATOが最もおすすめで、次にAutumn、その次にFALCON PROという順番になります。
音質的な特徴
美点
- ウォームで聴き心地が良い
- 奥行き感のあるサウンド
- ノスタルジック
- 濃厚感がある
- 解像度に優れる
- 落ち着きがある
- マイルド
欠点
- 癖が強いサウンド
- ぼんやりして聞こえやすい
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- ブーミーな低域
- 音像一貫性に欠ける
- 人によっては濁って聞こえる音
- ぼわつく低域
ウォームで聴き心地が良い
奥行き感のあるサウンド
マイルド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- DUNU FALCON PRO (Reference)
- DUNU FALCON PRO (Transparency)
- DUNU FALCON PRO (Atomospheric)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- DUNU FALCON PRO (Reference)
- DUNU FALCON PRO (Transparency)
- DUNU FALCON PRO (Atomospheric)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- DUNU FALCON PRO (Reference)
- DUNU FALCON PRO (Transparency)
- DUNU FALCON PRO (Atomospheric)
総評
2万円台で高級な質感の美しいイヤホンが欲しいならDUNU FALCON PROはかなり魅力的な選択肢です。全体的なサウンドパフォーマンスも価格の標準を満たしており、水準的にはかなり優れています。ただし、サウンドバランスはウォームに傾きすぎており、中域の音像がぼんやりしやすいのが欠点です。
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