免責事項
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CLASSIC PRO CPH3000の概要
こんな人におすすめ
- くっきりクリアなサウンドで音楽を聴きたい
- 聴き疲れないヘッドホンが欲しい
- おしゃれなヘッドホンが欲しい
- コスパ重視
基本スペック
- 再生周波数:10Hz-22000Hz
- インピーダンス:18Ω
- 感度:112dB
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.5/10.0
長所
- 優れた原音忠実性
- 中域への適切なフォーカス
- 長時間聞いても疲れにくい
- 高い解像度
短所
- よくないレンジ感
- 低域の深さに欠ける
- 繊細さに欠ける
- モニター向きではない
- ミキシングに使いづらい
CLASSIC PRO CPH3000の特徴
CPH3000はスタイリッシュなオンイヤータイプのヘッドホンです。納得できるサウンドを徹底的に追求し、幾度とない改良を経て開発をした高品位ドライバーユニットを搭載。厚みのある上質な低音と自然で艶やかな高音を再生し、臨場感のある生き生きとした表情のサウンドが特徴です。
- スタイリッシュなオンイヤーヘッドホン
- お洒落なステンレスのスライダー
- 幾度とない改良を経て開発をした高品位ドライバーユニットを搭載
- パワフルで上質な低音と自然で艶やかな高音を再生
- 臨場感のある生き生きとした表情のサウンド
- 装着感と遮音性に優れたイヤーパッド採用
- ストレートタイプのステレオミニプラグ
- 使い勝手のよい片出しケーブル採用
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。紙製でエコですね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 説明書
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の水準を満たしています。
装着感(8.5)
ハウジングは小型です。軽量で快適な装着感です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
CLASSIC PRO CPH3000はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
CLASSIC PRO CPH3000は中域寄りのサウンドシグネチャーを持っています。RØDE NTH-100に近いバランスで、価格はこちらが安いですが、音質的にはほぼ完全にNTH-100の上位互換です。おそらくRØDEがNTH100で作りたかった、目指していた音により近いのはCPH3000だと思います。ただし定位感に関してはNTH100のほうがより前方定位的でスピーカーに近い雰囲気です。
今回はレコーディングシグネチャーにRØDE NTH-100のレコーディングシグネチャーも付属しています。あなたは5000円未満のCPH3000と20000円台で「歴史を変える」とまで自称するNTH-100、どちらが良い音だと思いますか?こちらで聞き比べてみてください。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B-
- 深さ:B
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B-
一般にモニターヘッドホンとしてのサウンドバランスでは、CPH3000よりCPH7000のほうが優れています。
しかし、低域に関してはほとんど存在感が希薄で深みに欠けすぎるCPH7000に比べて、CPH3000のほうが若干優れていると言えるでしょう。
それでも深いところはあまり出ないので、低域のモニタリング能力は優秀ではありません。低域のチェックはイヤホンで行うのが良いでしょう。
CPH3000の低域は中域を支えるように、邪魔になるノイズ源になるかもしれない重低域や見通しを悪くする中低域を抑えつつ、低域の核をうまく持ち上げた合理的なチューニングになっていますが、存在感は弱めでしっかり聞き取るのには向きません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B
- 明るさ:A-
- 硬さ:A-
- 存在感:B
CPH3000の中域は、ほぼほぼCPH7000の上位互換であり、とくに解像度の点で優れています。
CPH3000の中域はCPH7000同様、中域下部から中低域を凹ませた構造になっており、ウォーム感や、特に充実感が不足気味でやや硬質に聞こえやすくなるところがあります。それがCPH7000同様ボーカル表現をややシャウトに傾けたり、全体的に音がアグレッシブに感じられる傾向を出すところがあります。
しかし、サウンドハウスが公式で説明している通り、CPH3000は中低域から低域にかけてはCPH7000より豊かであり、CPH7000の弱点であった聞き心地の点ではだいぶ改善されています。
高域方向でも分析的で高精細を重視したアグレッシブなチューニングがされていたCPH7000に対して、CPH3000はより抑制的になっており、それがCPH3000の音をCPH7000より丸いものにしています。
総じてCPH3000はCPH7000より聞き疲れ感は大幅に改善されていながら、解像度はより高い水準に引き上げられて、リスニングの快適性と精度の両面で向上が見られます。
しかし、これから述べるように高域の調整はモニターヘッドホンとしての分析力の点において、CPH3000をあまりおすすめできないものにします。
高域(8.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B-
- 荒さ:D
- 繊細さ:C-
- 存在感:C
CPH3000はCPH7000と似たような構造を維持しながら、より聞き心地に配慮した高域を実現しています。そのため、詳細で分析的だったCPH7000の高域と比べて、モニターとしての信頼性に劣る点は否めません。
拡張性に劣るのもそうですが、全体的に高域の高い方に向かうほどエネルギーの不足が出やすいところが気になります。
個人的な不満としては歯擦音の尖りをほとんど捉えられないことで、モニターヘッドホンとしては耳当たりが良すぎ、ボーカルづくりで一番チェックしたいこの部分が聞き取りづらいことです。高域に敏感な人にとっては優れた調整と言えますが、クリティカルリスニングに使うにはマイルドすぎます。
それでも解像度と鮮明度の両方のパラメータの水準は良いので、高域はかなりはっきり明瞭に聞こえます。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:C
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
解像度に優れており、明瞭感が高いため、クラシックは意外と聞きごたえがあります。スケール感は不足しているので、音場はやや扁平に横に広がって聞こえる傾向があります。まあ、つまり、解像度は良いのですが、フルオーケストラを聴くにはちょっと物足りない音場ですね。
篳篥の音がのびやかさで物足りず、やや柔らかすぎますが、聴き心地は非常によく、明瞭です。全体的に窮屈な聴かせ方で和音もややヒステリックになりやすいのは気になりますが、わりと悪くありません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A
- 低域:C+
低域の深さは物足りません。中域は最前面近くにあり、高さは標準か少し物足りません。
クリア感はモニターヘッドホンとしては物足りません。また適正音量を超えるとわりとすぐ歪みやすい傾向があるのも価格なりといったところです。
解像度は価格を考えると抜群に近いです。どのくらいかというと、概ねハイエンドで売られている機種の水準に等しいと言えます。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:A
CPH3000はモニターヘッドホンとしてかなり魅力的な解像度を備えているものの、歪率の高さやクリティカルリスニング向きでないサウンドバランスを考えると、モニターヘッドホンとして優秀な機種ではありません。
むしろ解像度重視の人がリスニングに使うのに向くでしょう。
音質的な特徴
美点
- 優れた原音忠実性
- 中域への適切なフォーカス
- 長時間聞いても疲れにくい
- 高い解像度
- おしゃれ
欠点
- よくないレンジ感
- 低域の深さに欠ける
- 繊細さに欠ける
- モニター向きではない
- ミキシングに使いづらい
優れた原音忠実性
中域への適切なフォーカス
長時間聞いても疲れない
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
なお今回はRØDE NTH-100のレコーディングシグネチャーも併せて掲載しますので、最新の2万円台のモニターとこの機種のどちらが音質的に優れていると思うか、ぜひ比較してみてください。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- CLASSIC PRO CPH3000
- RODE NTH-100
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- CLASSIC PRO CPH3000
- RODE NTH-100
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- CLASSIC PRO CPH3000
- RODE NTH-100
総評
日本の優れたオーディオ専門販売店サウンドハウスは高品質なオーディオブランド「CLASSIC PRO」を展開していることでも知られています。CLASSIC PRO CPH3000はたしかに非常に解像度が高く、聴き心地にも配慮した優秀な機種で、わずか5000円以内の価格でありながら、最新の2万円台の有名メーカー製モニターに引けを取りません。
CPH3000はそれでも、モニターヘッドホンとして優秀という機種ではありませんが、下手なメーカー製の数万円の機種を買うよりは音質的にはるかに優れています。正統派のモニターを探している方には同ブランドのCPH7000を当ブログは引き続き推奨します。
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