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CCZ Emeraldの概要
こんな人におすすめ
- ボンボンした柔らかい音が好き
- 包まれ感重視
- 聴き心地の良いイヤホンを探している
- CCZファン
基本スペック
- 周波数特性:20Hz-20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:110dB
- コネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:1000円~3000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:7.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
長所
- 悪くない原音忠実度
- 温かみがあり、聴き心地が良い
- 優れた解像度
- 低歪でクリーン
- 良好なビルドクオリティ
短所
- 中域の透明度に劣る
- 低域の深さに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 全体的にぼんやりしている
- 不自然な質感
- キレが悪い
- 繊細さに欠ける
- 分離感が悪い
CCZ Emeraldの特徴
- ♪【耐久性があるアートワーク】CCZ Emeraldイヤホンのフェイスプレートは高光沢射出プロセスが採用されて、環境にやさしいPCキャビティはUVライトペイントプロセスが採用されています。繊細な金属の質感とファッショナブルで流線型の美しさを兼ね備え、エレガントな光が目を輝かせます。
- ♪【精密な内部音響構造】CCZ Emeraldインイヤーは、ヘッドホンの従来の電子周波数分割に物理周波数分割技術を追加します。 各ユニットの配置と角度は科学的に計算されているため、さまざまなユニットの特性を活用して厳密に一致させます。ダイナミックドライバーシステムは、均質で歪みのない再生により音響的ストレス要因を低減します。
- ♪【10mmデュアル磁気回路ダイナミックドライバー】 CCZ Emeraldイヤーモニターはダイナミック型ドライバー1基とBA型ドライバー1基のハイブリッド型としての構成します。磁束を2倍にすると、同じ仕様の通常の可動コイルユニットよりも高い電気音響変換率が得られます。 低インピーダンス、高感度、エネルギー効率と過渡応答が優れており、深くて厚い低域が得られます。サウンドは透き通っで自然で、低域は弾力性があり、ボーカルは暖かく厚みがあり、ディテールが多く、高音域は透き通っで鋭くない。同時に、広大なサウンドステージと優れた3周波数分離を備えており、ベース、ボーカル、ポップ、フォーク、ACG、雑食性などのスタイルを聴く人に適しています。ケーブル部分についても音質に配慮し 4N グレード (99.99%)無酸素銅導体ツイストケーブルを採用しました。2Pin 仕様でケーブル断線時の交換が行えます。
- ♪【快適なフィット感】CCZブランドのイヤホンシリーズとして、「CCZ Emerald」は、外耳道のデータ多量をサンプリングし、人間工学に基づいたマルチドライバーイヤホンのデザインを採用します。さらに、イヤホンのキャビティのテールコーナーにTPEソフトラバーイヤーフックを追加します。使った素材は環境に優しく、肌にやさしく、アレルギーがないため、より快適で、軽く、より安定して着用できます。優れた質感だけでなく、外耳道により快適にフィットします。
CCZ Emeraldは、バランスド・アーマチュア・ドライバーと10mmデュアルマグネットDDを1基ずつ搭載したハイレゾ対応ハイブリッドカナル型イヤホンです。豊かな低音とクリーンなボーカルが際立ち、中低音域が底上げされています。同価格帯の他製品と比較しても、全体的に音に広がりがあり、パワフルで迫力のあるサウンドインプレッションを受けることができます。
パッケージ(8.0)
パッケージは価格帯の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書など
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。価格のわりに高い品質に思えます。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
CCZ Emeraldはアンプの出力インピーダンスの影響をそれほど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
CCZ Emeraldは中低域と中高域が強調されたV字型のサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A
CCZ Emeraldの低域は全体の中で少し支配的になりやすく、また中低域が少し強いため、膨張的なのが気になるところでしょう。中域にかぶさりやすいところがあるのが欠点です。
バスドラムキックはかなりインパクトがあり、力強く重みと太さのある重厚な音で聞こえます。エレキベースの黒さも十分です。深さでは少し物足りませんが、透明度が高く、はっきり聞こえます。
重低域マニアには少し物足りないでしょうが、大抵の低域好きを満足させることはできるかもしれません。ただ引き締まり感には欠けます。
中域(7.5)
- 原音忠実度:A
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
CCZ Emeraldの中域は暗い位置にあり、低域の影響を受けやすいのが難点です。充実感があり、ウォーム感の強い雰囲気で、聴き心地は良いと感じる人は多いかもしれませんが、低域の熱気が滲みだして質感表現に悪影響が出ています。
ややぼんやりして聞こえるために分離感が悪く、コントラバスなんかボンボン膨張して聞こえます。またボーカルの子音が弱く、活舌が若干悪く聞こえる感覚も出やすいですね。
明瞭感は悪くないですし、THDもかなり低くて優秀な水準にあるので、音像が膨張的で濁りが強くても、音像が聞き取りづらいというほどではありません。ただ、原音忠実派のオーディオマニアには定在波が多いような音に聞こえ、ウケが悪いでしょうね。
高域(8.5)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D
- 繊細さ:D
- 存在感:C+
高域は中高域が強調されており、中低域の膨張感とバランスをとっているようです。ぼんやりした中でもわりと艶やかに音が聞こえ、輪郭感もそれなりにしっかりしているので、音楽全体が混濁するのを抑えています。
それでも繊細さは足りず、全体的に音が丸く、分離が悪い雰囲気で、スネアなんかヘッドの皮がたるんでいるように聞こえ、キレが悪い印象を受けますね。
ボーカルも少し地味でエレキギターもやや色づきが悪い印象です。エッジ感は悪くないので、ロックはそれなりに聞けますが、全体的に音がだぶついていて、スピード感に欠け、メリハリの足りない雰囲気です。ハイハットの抜けと広がりも悪く、発色も悪くてごみごみしていますね。
全体的に音がダマになって聞こえる傾向があります。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:C
- 雅楽のテクスチャ:C+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
定位感は悪くないにしても、肝心の中域がぼんやりしているので、フルオーケストラ向きとはあまり言えませんね。奥行き感が感じられるので、ホールのような雰囲気に生音感を感じる人に一定程度ウケるかもしれませんが、中高域の変な強調と抜けの悪さのせいで、下手くそに聞こえるバイオリンは何とかしてほしいものです。解像度は良いのでそれでもそれなりに聞きごたえがありますが、クラシックファンの好む音ではないでしょう。
雅楽も篳篥の軸が弱くて力強さにかけ、ごにょごにょとして聞こえるのが気色悪いですね。和音もふにゃーんという音がダマになって聞こえてきます。フルオーケストラよりはマシかなぁといった具合ですね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:B
深さは標準を満たし、中域はやや奥まり、高域は若干高さが不足しています。
クリア感は価格を考えると優秀です。
イメージング性能は価格帯では抜群に近いですね。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B
- 個人的な好み:D-
CCZ Emeraldは解像度とTHDでハイエンドクラスのサウンドを実現しているのは驚嘆に値しますが、サウンドバランスはだめです。まあ、低価格で温かみのある、少しリラックスして音楽を聴けるぼんやりした音のイヤホンを探しているなら悪くないかもしれません。
同じ価格帯ではKZ EDX ProやCCA CRAといった機種の方が一般により優れていると言えるでしょう。
少し上の価格帯には同じような低域寄りのサウンドキャラクターながら、はるかに洗練されたサウンドを実現しているFloAudio Callaが存在しています。
Emeraldはこれらのライバルたちと比べると、一段劣る水準であり、KZ ZEXよりはマシといった程度でしょう。
Emeraldのぼんやりした音が気に入らない場合、より露骨にV字型をしているLafitear LM1のより目鼻立ちの良いはっきりした音を気に入るかもしれません。
音質的な特徴
美点
- 悪くない原音忠実度
- 温かみがあり、聴き心地が良い
- 優れた解像度
- 低歪でクリーン
欠点
- 中域の透明度に劣る
- 低域の深さに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 全体的にぼんやりしている
- 不自然な質感
- キレが悪い
- 繊細さに欠ける
- 分離感が悪い
- 籠って聞こえやすい
悪くない原音忠実度
低歪かつ優れた解像度
聴き心地が良く、充実感がある
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
今回は同じく低域寄りながら一般にはるかに洗練された音になっているFloAudio Callaのレコーディングシグネチャーも付属します。聞き比べて楽しんでいただければ幸いです。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- CCZ Emerald
- FloAudio CALLA
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- CCZ Emerald
- FloAudio CALLA
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- CCZ Emerald
- FloAudio CALLA
総評
CCZ Emeraldはボンボンした温かみのある、充実感の高いサウンドで音楽を楽しみたい人には悪くない選択肢かもしれません。実際、低価格のわりに優れた解像度と低い歪率を実現しており、オーディオスペックの上ではかなり優れています。
ただサウンドバランスは低域寄りで中域の再現度が良くなく、基本的にオーディオマニア向きではありません。全体的に分離感も悪く音がダマになりがちで、繊細さにも欠け、キレの悪い音で聞こえるため、いくら低価格でも敢えてこれを手に入れる必要はないでしょう。同じくらいの値段で買えるCCA CRAやKZ EDX Proのほうがはるかにマシです。
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