免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにCCAから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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CCA CRA+の概要
こんな人におすすめ
- 中域を前面に聴きたい
- 高域に敏感ではない
基本スペック
- 再生周波数:20-40000Hz
- インピーダンス:23.5Ω
- 感度:111±1dB
- ピンタイプ:0.75mm 2pin
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.0/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 原音忠実性が高い
- 良好なボーカルフォーカス
- 重厚感のある低域
- 前方定位的
- 繊細に聞こえる高域
- わりと良好な高域拡張
短所
- やや刺さりが強いかもしれない高域
- オリジナルのCRAより低い鮮明感
- オリジナルのCRAより浅く、膨張的な低域
- オリジナルのCRAよりぼんやりした中域
- 総合するとCRAに劣る
CCA CRA+の特徴
- 特許取得済み超薄型振動板 10mm ダイナミック型
- 亜鉛合金製
- インレイドカバー
- 2ピン交換式ケーブルプラグ設計
- 高純度銀メッキワイヤー
- ノイズキャンセリングマイクロホン
- 軽量で快適な装着感
- 人間工学に基づいたデザイン
- 3つの周波数で優れた性能を発揮
3つのアップグレード:期待に応える、無敵の革新性
CRAのチューニングをベースに、低音をより力強く、よりクリアにするための改良を行いました。CRAと比較して、CRA+はスピーカーの構造を新たに成形してチューニングし、F1(第一フォルマント周波数)の向上と驚異的な聴感を実現しました。CRA+のチューニングにより、低音の力強さ、周波数特性の広さ、高域の音場感の広がりが実現しました。
まったく新しいダイナミック型
CRA+は$1,000クラスのIEMチューニングのベンチマークとなるものです。特許取得の超薄型ポリマーコンポジット振動板と0.15MMの磁気ギャップにより低歪みを実現し、0.035MMのループ径によりドライバーの周波数を安定させ、効率よく振動させることができます。
ラグジュアリーな外観
CRA+はさらに輝く見た目で、これまで以上に際立つ存在に。高級感あふれる外観に、複数の絶妙なマンシップ、製品はさらに特別なものになりました。
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。外箱はシンプルで紙製なので、処分は楽です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感はかなり良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
CCA CRA+はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
CCA CRA+はニュートラルサウンドを意識したV字型のサウンドバランスになっており、透明度の高い中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。最近のKZはCRA以降、EDA、CRA+、EDX Ultraとオーディオマニア向きのサウンドを研究していると思しき、明らかにニュートラルサウンドを意識したシングルDD製品群を相次いでリリースしており、その中でCRA+はEDX Ultraに近いチューニングバランスになっています。
KZがこうした一連のシングルDDモデルを通じて次世代のサウンドを模索していることは明らかであり、また全体のサウンドデザインも初代EDXの時代から非常に進化していることも、これらのチューニングがより滑らかで自然なサウンドを実現していることからわかります。
そして、CCA CRA+のコンセプトは明確です。それはCCA CRAでオーディオコミュニティから提出された不満に対応しました。CCAがここで目指したのはCRAのサウンドを起点としつつ、全体の中での中域の地位向上、そして高域の改善です。大雑把に周波数特性を眺めると、たしかにそれは達成されているように思えますが、仔細に分析してみるとどうでしょうか。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-
低域はニュートラルを意識した自然に深みを強調するバランスになっており、なかなか優れています。
CCAは公式にCRAより重低域を浅くしたことを明記していますが、私の測定値でもそれは確認されました。低域はCRAやEDX Ultraなどの兄弟機と比べて、膨張的で引き締まりは少し物足りません。ドラムキックは十分にインパクトがあり、重さと太さも十分ですが、わずかに浅く、エレキベースも少し明るく聞こえます。
私は重低域の深さを好むので、CRAに比べて臨場感に欠けた、沈み込みの足りない音に思えますが、とくに加齢が進んで高域が聞こえづらくなると重低域をノイジーと感じる傾向が出てきますから、そういう人にはこのくらいのほうがいいかもしれません。
ベースヘッドにはCRAやEDX Ultraをおすすめします。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域はニュートラルに近く、質感表現はかなり正確です。
最近までKZがなぜオーディオマニアから高く評価されてこなかったというと、彼らが中域の作り込みに優れていなかったからです。しかし、KZは最新のシングルDDモデルでは明らかにニュートラルサウンドがなんであるかを把握し、それに合わせてチューニングしています。転機はおそらくCRN(ZEX Pro)です。
CCA NRAやZEXのころまでは彼らの中域デザインは安定していませんでしたが、ZEX Pro以降の機種は中域でニュートラルラインに準拠したサウンドプロファイルを持っています。
CRA+でもニュートラルなバランスを良く維持していますが、中域の心臓部の正確性はオリジナルのCRAに少し劣ります。
中域上部のバランスが良くなったので、CRAで物足りなかった色彩感の再現度が上がり、より艶やかに聞こえるようになりましたが、鮮明感などは劣っているため、CRAに比べると音が若干ぼんやりして聞こえる人が多いでしょう。実際定位感は少し悪化しています。
また中低域が中域にかかる感じも少し強くなっており、CRAで引き締まっていた低域がやや膨張的で中域にせりあがってくる感じがあるのも気になるでしょう。
色彩感はよりきれいになったので、一概には言えませんが、総じて中域の品質はわずかにCRAから劣化しているというのが私の結論です。
高域(7.0)
- 原音忠実度:B+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:D+
- 存在感:C+
さて、一見CRAから改善されたように思えるかもしれない高域ですが、実際には劣化しています。サウンドの一貫性が低下し、鮮明感が劣化し、全体的にやや薄くなり、若干ガサつき感が強く意識される音になっています。
私の意見では、CCAがCRA+で高域を下げたのは単純な失敗です。おそらくCCAはハーマンターゲット的な考えを強く信奉するオーディオマニアの意見を取り入れたのでしょうが、最近Knowlesがかなり的確な指摘をしているように、現状のハーマンターゲットは高域の快適量を低く見積もりすぎています。実際に、SENNHEISERやTechnics(パナソニック)、final、Acoustuneなど(そしてSoundPEATSやUGREEN、QCY、Earfunなどの多くの低価格中華完全ワイヤレスイヤホンメーカー)はおそらくこの事実に個別に到達しており、高域をより重視してチューニングしています。Knowlesが提唱していることは決して新奇な提案ではありません。
CCAは期せずしてCRAでその事実に近づきましたが、CRA+では改良と称してそこから遠ざかったので、このことをあまり理解していないのかもしれません。少なくとも高域の設計を見る限り、多くの人にとって、CRA+はCRAの改良型ではなく、実際にはCRA-であると言えるでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
フルオーケストラを聴くにせよ、雅楽を聴くにせよ、基本的にCRAで聴くことをより推奨します。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:B-
深さは十分で中域も比較的前面に聞こえ、高域は価格を考えると、十分な高さがあります。
クリア感は価格を考えるとなかなか優秀です。
イメージング性能は価格を考えるとかなり優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
まずCCAの名誉のために弁護しますが、いくつかの測定値を検討した結果、CCAがCRA+でCRAからドライバーを改善したというのはおそらく本当かもしれないと思われるデータは発見できました。しかし、2倍の価格差を肯定できるほどかは、私としては「それは難しい」と言わざるを得ないように思われますが、CCAが妄りに価格を引き上げたわけではないだろうということは伝えたいと思います。それでもCRA+よりCRAのほうが優れていると私は結論付けます。
誤解しないでほしいのは、これはCRA+が優れていないというわけではなく、CRAが価格のわりに優れすぎているという事実を示しているだけです。
結局のところ、どちらかといえばCRA+は私にとってCRA-です。中域は場合によって改善されたと言えることは事実で、もしかすると中域重視のオーディオマニアの一部はそれがより中域を前面に聴かせるというところを評価して、オリジナルより優れていると結論付けるかもしれません。
しかし高域の作りの悪さは、CRA+の音をCRAより曖昧に、ヴェールがかかったように聞かせるところがあります。少なくとも全体的な音の引き締まりの良さではCRAのほうが優れており、多くの人にとって、より音楽の全体像がはっきり聞こえる感覚があるのではないでしょうか。
今回はレコーディングシグネチャーにCRAのものも掲載するので、どっちが好みかぜひ聞き比べてみてくださるとうれしいですね。
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- 良好なボーカルフォーカス
- 重厚感のある低域
- 前方定位的
- 繊細に聞こえる高域
- わりと良好な高域拡張
欠点
- やや刺さりが強いかもしれない高域
- オリジナルのCRAより低い鮮明感
- オリジナルのCRAより浅く、膨張的な低域
- オリジナルのCRAよりぼんやりした中域
- 総合するとCRAに劣る
原音忠実性が高い
重厚感のある低域
前方定位的
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- CCA CRA+
- CCA CRA
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- CCA CRA+
- CCA CRA
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- CCA CRA+
- CCA CRA
総評
CCA CRA+はCRAの中域が暗いことに不満を覚える場合に、選択肢に入るかもしれません。しかし、総じてオリジナルのCRAのほうが優れているため、2倍以上の価格を出してこれを買う必要はあまりないでしょう。
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