【中華イヤホン Cayin YB04 レビュー】Cayinの真空管アンプへの情熱が生み出した唯一無二のサウンド

基本スペック

• 周波数特性：18hz-40khz
• インピーダンス：30Ω
• 感度：113dB
• ケーブルコネクタ：2pin 0.78mm

公式サイト

Cayin YB04BA4基搭載インイヤー・モニター | kopek｜
Cayin YB04はCayin初のイヤホンで、Knowles製BAを2基、Sonion製BAを2基の合計4基のバランスド・アーマチュアを搭載しています。CNC削り出しのアルミ製ノズルとハウジング、さらに8芯で構成される銅と銀合金の高品質ハイブリッドケーブルが自然な音のハーモニーを実現しました。むやみに原音を強調することなく、原音の良さを活かす自然なサウンドをお届けします。
 

Cayinのクアッド・バランスド・アーマチュアシステムは2つのKnowles製ユニット及び2つのSonion製ユニットで構成されています。クロスオーバーデザインを注意深く施し、全帯域にて並外れた透明感と音楽性に溢れるサウンドを体験いただけます。非常に親しみやすい自然なサウンドを感じていただけることでしょう。

YB04を装着し、再生ボタンを押せば、ポータブルなリスニングルームに没頭できることでしょう。さあ、音楽に集中して楽しみましょう。

Cayinはパッケージが豪華です。N6IIもケースが巨大で驚きましたが、YB04も非常に余裕のあるケースにイヤホンと付属品が印象的に配置されており、リッチなオーディオ製品を手に入れた気分を味わえます。

シンプルでエレガントなCayinらしい洗練された開梱体験があります。贈り物としても喜ばれるでしょう。

付属品も多めです。

高級感のあるレザーケースはイヤホンを引き立て、持ち運んで開けるたびに美しいYB04をさらに輝かせてくれるでしょう。

それはあなたのオーディオライフにささやかな楽しみを追加する、小さな宝石箱のようです。

イヤホン本体のビルドクオリティは良好です。CNCアルミニウムで仕上げられた武骨でありながら洗練されたフォルムを持つYB04はスチームパンクの世界からやってきたようです。

あるいは真空管アンプの世界観を持ち運べるかのような、どことなくレトロな機能美があります。

耳への収まりは比較的良いと思われますが、耳が小さい人には少し装着感が安定しないかもしれません。

たとえば写真のHATSはSサイズの耳なのですが、このサイズだとケーブルガイドが浮き上がるようです。私自身が実際に装着したところ、ケーブルガイドは適切に機能しているように思われますが、耳が小さくてガイドがうまく機能しない場合は、リケーブルなどを検討する必要があるかもしれません。

有料noteコンテンツになります。

【中華イヤホン Cayin YB-04 レビュー】その周波数特性、THD+N特性｜audio-sound｜note
　この記事ではCayin YB-04の詳しいデータを元にレビューしています。この記事にはCayin YB-04の周波数特性データ、THD＋N測定値が含まれています。
 

有料noteコンテンツになります。

【中華イヤホン Cayin YB-04 レビュー】その周波数特性、THD+N特性｜audio-sound｜note
　この記事ではCayin YB-04の詳しいデータを元にレビューしています。この記事にはCayin YB-04の周波数特性データ、THD＋N測定値が含まれています。
 

Cayin YB04の低域はフラット傾向で非常に素直な出音ですが、少しリラックスしています。ローエンドは自然に消失するよう緩やかにロールオフしており、拡張性は高くありません。これは真空管アンプの重低域が持つ緩やかな消失感を意識したのかもしれません。

真空管アンプは重低域に向かって緩やかに歪みが増していく傾向にあるそうですが、興味深いことに、Cayin YB04の低域もローエンドに向かうにつれ、かなりなだらかに歪みが増大します。

低域はほとんどフラットなので階層性はわりとしっかりしていますが、ローエンドに向かうほどぼやけて消えていくようなサウンドになっています。それにより、ローエンドはランブルや臨場感を強調するのではなく、むしろ柔らかで熱気の中にもやもやと少しおぼろげに沈んでいくような独特の消失感を持ちます。

そのため、低域は重みは強くなく、キックも少し浅いですが、むしろエレキベースの響きの熱量は豊かに感じられます。

Cayin YB04の中域は前進的で奥行き感にも優れています。ボーカルはほぼ最前面に出てきます。声質は少し息が強調され、ハスキーで鼻音を感じさせる若干媚びたエロティックな声色で聞こえます。

そのボーカルの周辺は付帯音が豊かにふわっと聞こえるようになっています。充実感はそれほど強いというわけではなく、むしろボーカル周りの空間は少し清潔なくらいですが、その空間がスカスカしないように響きと付帯音が緩やかに埋めています。

中域は豊かな付帯音によって、まるでブラウン管テレビのようにぼんやりするところがあり、輪郭も柔らかく若干レトロな雰囲気で聞こえます。

中域の明度は高いため、音ははっきりとしていますが、分離感がしっかりしているというわけではなく、むしろ音どうしはゆるやかに響きが重なっているように思えるところがあります。解像感が良いイヤホンでは決してありません。むしろ空気減衰が多いサウンドに思えるくらいです。

Cayin YB04の高域は細かなピーク感があり、滑らかにつながっていた低域や中域とは明らかに質的に異なったサウンドを感じさせます。

ゆるやかで、どちらかというとほんわかしていた中域以下と異なり、高域は繊細で少し荒々しく、クラッシュ感も強調され、マイクロディテールの強調は少し過剰なくらいです。その高域は背景から沸き立つ雰囲気を持っており、その音の粒立ちは非常に細かな粒子が泡立つような清涼感があります。

しかし、全体は中域より後退的で中域を邪魔しない控えめな存在感になっており、全体的には静かです。

高域の中域からの距離感と適度な静寂感は絶妙で、それは多くの楽曲の大半でボーカルを引き立てるように静かですが、シンバルクラッシュの場面では十分に輝き、軽やかな吹き抜ける風、あるいはエネルギッシュに発散される汗、ラガービールのキレのある発泡のように音楽に爽快感を加えます。

Cayin YB04の音響的焦点は中域上部～高域に存在します。

Cayin YB04の音場は奥行きと幅だけは少し広いですが、上下の拡張性はあまり優秀ではありません。音は少し中域に集まる傾向にあります。ただし、全体的に音像が大きく、親密な位置に音場が形成されるので、高い没入感があります。

クリア感は標準レベルか、価格帯では少し物足りないです。

輪郭がどこか曖昧で空間に溶け込む、燻るガス灯の中で聞こえるような、どことなくぼんやりとした柔らかみのある、優しくほの明るい、儚げでありながらも美しい音楽を味わいたいですか？あるいは朝もやが立ち込めるように聞こえる、朧気でありながらも清涼感の感じられる音楽を聴きたいでしょうか？

「よし、真空管の出番だ！」と意気込む前にCayin YB04を手に取ってみましょう。真空管に対する並々ならぬ情熱を持つこのブランドはイヤホンでも真空管の世界観を再現することにあらゆる努力を惜しみませんでした。

あなたが真空管サウンドに興味がないなら、このイヤホンのことは忘れていいでしょう。それは単にぼやぼやした音を鳴らすだけのつまらないイヤホンです。しかし、あなたが真空管サウンドを愛しているのなら、YB04は必聴の価値があります。

そこには一流の真空管メーカーが真空管サウンドの持つ豊潤な倍音成分の雰囲気を再現するためのあらゆるノウハウをつぎ込んだ珠玉の逸品があります。

欠点

• クリア感に欠ける
• 分離感は良くない
• 解像感は高くない
• 広くない音場
• 中域に音が集まりやすい
• 個性的過ぎて好き嫌いが分かれる
• ローファイサウンド

「エウテルペ」の神話的で荘厳、そして抒情的な雰囲気を味わうのに、YB04以上のイヤホンはなかなかないでしょう。

ボーカル付近は非常に付帯音が多く、倍音が豊かに広がって聞こえ、みずみずしく豊潤です。

それとは反対に風通しが良く、エネルギーに満ちている高域はボーカルの息を浮揚させ、滞留する中域と対比をなし、高いところへ向かう空気の流れを感じさせます。

YB04の聴かせるこの曲は、これまでいろいろ聴いてきた「エウテルペ」の中でも屈指で、信じられないくらい美しいですね。chellyの独特のハスキーなボーカルと相性が良すぎるのかもしれません。

全体的に燻っているようなカサカサしている感じがするかもしれません。ボーカルはみずみずしいですが、品質の悪いJPEG画像のように少し音質が荒く聞こえるでしょう。

しかし、音楽の上辺はエネルギッシュでシンバルクラッシュに爽やかな沸騰感が感じられます。とはいえ、いまいち薄味ではっきりしません。

音場は決して広くないうえ、背景との分離感が悪いのでローファイなサウンドに聞こえます。

ぶっちゃけ良いところなんて何もないんじゃないの？って思うかもしれません。

それは違います。そのすべてが良いのです。全体的にぼんやりしていて温かみがある豊かなサウンドがとてもノスタルジックで味わい深く、生々しく人間的に聞こえる、それがCayin YB04のほかのイヤホンにない最大の魅力です。

これは原音忠実主義から言えば、良い音ではないでしょう。しかし、だからこそ極上のサウンドになりえるのです。なぜなら、私たちは日常生活の中で聴いている音はどれも空気減衰しており、高域はのろく、生演奏の自然な音楽は大抵ぼんやりしているのですから。

少なくともYB04を聴く限り、Cayinが目指す自然な音は、ハイファイとは異なる概念であることは間違いないでしょう。そして私はその音を素晴らしいとほめたたえることができます。

この曲の甘くノスタルジックな雰囲気を味わうために真っ先にお勧めしたいイヤホンの一つです。

ボーカルの周囲は豊かな付帯音に包まれ、ほんわかした陽だまりの雰囲気があります。低域もわずかに膨張的で優しく、全体的に調和的な味わいで聞こえ、その豊かなハーモニクスの中で朝露のようにみずみずしくはじけるシンバルクラッシュが楽しめます。

分離感は悪く、全体的に付帯音が多いので、ガサガサとノイズが多いだけで聞き苦しいように思う人もいるでしょう。そういう人には合わないイヤホンです。

1. 原曲（-23LUFS）

2. Cayin YB04（Antelope Audio Amari）

1. 原曲（-23LUFS）

2. Cayin YB04（Antelope Audio Amari）

1. 原曲（-23LUFS）

2. Cayin YB04（Antelope Audio Amari）

1. 原曲（-23LUFS）

2. Cayin YB04（Antelope Audio Amari）

1. 原曲（-23LUFS）

2. Cayin YB04（Antelope Audio Amari）