免責事項
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Campfire Audio Solaris 2020の概要
こんな人におすすめ
- 重厚感重視
- 重低音好き
- シックで上品な音が好き
- サ行の刺さりが苦手
基本スペック
- 再生周波数:5-20000Hz
- インピーダンス:15.5Ω
- 感度:115dB
- ピンタイプ:mmcx
- 価格帯:100000円~2000000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:9.0/10.0
- 装着感:8.0/10.0
- 高域:6.5/10.0
- 中域:7.5/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 奥行き感のある音場
- 上品でシック
- 重厚
- 深みのある低域
- 良好なビルドクオリティ
短所
- 不足している高域拡張性
- 平面的に聞こえる中域
- 立体感に欠ける
- 不自然な質感
- 地味で発色の悪い音
Campfire Audio Solaris 2020の特徴
心に響くサウンドが揺らぐ炎のように崇高な境地へと誘う、渾身のフラグシップ機
SOLARISは、Campfire Audioのフラグシップモデルを冠するイヤホンとして、Campfire Audioの技術を常にアップデートし続けているだけに留まらず、使われる部品一つ一つからデザイン・材質まで、それら全てに対し妥協のないこだわりを持っています。Solaris 2020では、Campfire Audioが新たに開発した新技術「ソリッドボディ設計」を採用し、筐体サイズは20%も軽量化され、装着感を改善しています。
Solaris 2020が表現するサウンドは類を見ないほど表現力が豊かで、サウンドスケールが比べられないほど壮大です。この信じられないほどリアルなサウンドが、没入感のある音楽体験を提供します。
アコースティックチャンバーなどの内部パーツを単一パーツで成型した新構造のソリッドボディ設計
新設計のソリッドボディ設計とは、従来までのイヤホン設計で使われていた音導管やコンデンサー、ダンパーなどのドライバーに対して少しでもその本来の音を変えてしまう要素をすべて排除し、その代わりとして3Dプリンターで成型した単一のコンポーネントをドライバーのサウンドチューニングの要として使用し、「Less is more」というCampfire Audioの哲学を更に進化させました。また、このソリッドボディ設計によりパーツを少なくすることで、イヤホンのチューニングを細かく制御できるほか、可動部品が少なくなることで、耐久性の向上に成功しました。
ダイナミック型ドライバーの音響特性を制御する独自開発のアコースティックチャンバーを搭載
独自技術「Polarity Tuned Chamber」は、3Dプリンターで形成した「アコースティックチャンバー(空気室)」を使用し、ダイナミック型ドライバーを制御する技術です。この特別なアコースティックチャンバーは、スピーカーで例えるところのエンクロージャーのように働き、ダイナミック型ドライバーの前後のスペースを最適化することでチューニングを行い、その形状を変化させることで、ダイナミック型ドライバーが本来持つ、迫力のあるサウンドを引き出します。
独自のチューブレス設計により、ドライバー本来の音を届ける「Tuned Acoustic Expansion Chamber(T.A.E.C)」
独自技術「Tuned Acoustic Expansion Chamber (T.A.E.C)」は、従来までのイヤホン設計において使用されてきた音導管を使用せず、3Dプリンターで形成した「アコースティックチャンバー(空気室)」で以って、サウンドチューニングを行う独自技術です。 従来までのイヤホン設計では、音導管をドライバーに繋げることで音の伝達やチューニングを可能としてきましたが、音導管内部では音の共鳴が起こり、意図しないノイズが発生してしまいます。T.A.E.Cでは、スピーカーで例えるところのエンクロージャー(アコースティックチャンバー)を3Dプリンターで形成し、このエンクロージャーで以ってサウンドのチューニングを行い、音の伝達も可能にしています。チューブレス設計を実現したことで、ノイズの原因となる問題を排除し、高域の周波数特性を改善。ドライバーが本来の持つサウンドを、より正確に伝達可能とします。
上位モデルの為に用意された、Super Smoky Litz Cable
Super Smoky Litz Cableは、純銅銀メッキ導体を採用したツイストデザインのケーブルです。Super Smoky Litz Cableでは、Smoky Litz Cableで使用される導体よりも太い導体を採用し、音質の向上を図っています。ケーブルの外観は、スタイリッシュなスモーキーカラーのジャケットに仕上げたことで、イヤホン本体のデザインを引き立ててくれます。イヤーガイドは、熱処理で癖をつけたスリーブを採用したことで、軽量化を図っています。ケーブルの編み方は、縺れにくくなるツイストデザインで仕上げ、毎日使用していてもストレスレスなケーブルです。
樹皮を使用した、環境にやさしく手触りが気持ち良い、サスティナブルジッパーケース
イヤホンを保管するこのプレミアム・コルクジッパーケースは、コルクガシの木から収穫できるコルク層の樹皮を使用しており、この樹皮にはラバーコーティングを施しています。手触りが良く丈夫なコルクガシの樹皮は、剥がしても木の生育を阻害しないサスティナブル素材です。裏地には、イヤホンを保護する為にクッション性の高い厚手のフェイクウールを使用しています。このプレミアム・コルクジッパーケースは、Campfire Audioの職人魂を深く理解しているポルトガルの小さな工房で生産しています。
パッケージ(8.0)
10万円台の製品にしてはパッケージが簡素です。保管に場所を取らず、捨てやすいのはいいですね。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- Sustainable Cork Brown Dyed ZipperCase
- Mesh IEM Bag
- イヤーチップ (シリコン, フォーム, E-Type)
- クリーニングツール
ビルドクオリティ(9.0)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
金属製で非常にきれいです。
装着感(8.0)
装着感は若干耳に当たる感じがあるものの、悪くありません。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Campfire Solaris 2020はアンプの出力インピーダンスの影響をかなり受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Campfire Audio Solaris 2020は中域充実系のサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(10.0)
- 原音忠実度:S+
- 臨場感:A-
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B
- 存在感:B+
Campfire Audio Solaris 2020の低域は深さに優れており、引き締まり感もあってかなり良質です。
エレキベースが黒く、ドラムキックもインパクトがありますが、太さや厚みで物足りないところがあるので、量感が不足気味に聞こえるという人はいそうです。
個人的にはもう少し太い音が好きなので、深さは悪くないんですが、しっくりこない音ですね。
ただ、それはあくまで好みの問題で、重低域マニアを満足させることができる水準は十分に満たしていますし、基本的に高評価できる低域と言えます。
中域(7.0)
- 原音忠実度:A
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
Solaris 2020の中域は発色が悪く、ガサガサした質感で透明感に欠け、単純によくありません。
中域下部は比較的整っていますが、上部の調整が良くなく、全体的に暗く、平面的でギターエッジの再現度が悪く、輪郭感に劣ります。
ボーカルもガサガサしていて暗い聞こえ方で大人びた雰囲気ですが、活気がありません。歯擦音は目立ちにくいので聞き心地は悪くないですね。個人的にはこういう聞かせ方は好きですが、クラシックを聴くと全体的にふにゃふにゃしてぼんやりして聞こえるので、オーケストラの主軸となるべきバイオリンや木管に力強さが出ません。定位感の再現度も悪いんですが、中域の立体感の悪さがさらにそれに拍車をかけます。
全体的に奥に音が逃げていくような音場になっており、扁平で窮屈に聞こえます。
高域(6.5)
- 原音忠実度:C+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C
- 荒さ:D+
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域もあまりよくありません。
輝度が少し強調されているので、繊細さが感じられ、第一印象はそれほど悪くないですが、中高域がかなり凹んでいるせいで、全体的に活気がなく、のっぺりした聞かせ方の平面的な高域になっています。
ハイハットが平面的で粒の広がりも悪く、広がり方に立体感が感じられないので、ロックを聴いても本当につまらないですね。ドラムセットが基本的に躍動感がなく死んでます。
EDMも一番楽しい電子楽器のきらびやかなあたりの音数が少なくなりがちで、地味に聞こえるのでつまんないですよ。ボーカルの立体感も失われて聞こえがちです。要するに音楽表現に深みや奥行き感を出すのが苦手です。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:C+
- オーケストラのテクスチャ:C-
- 雅楽のテクスチャ:C-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感と定位の再現度ともに優れていないために、Solarisはフルオーケストラ向きのイヤホンとは言えません。とくに中域の立体感の再現度の悪さ、音の発色の悪さのせいでフルオーケストラの力強さとみずみずしさの再現度に大きく劣ります。
雅楽は落ち着いて聞こえる点は悪くない気がしますが、主役である篳篥の音に芯が感じられず、艶やかさに欠け、ふやけて聞こえるのがまずよくありません。和音もぼんやりしており、聞き心地はよいですが、締まりが悪いですね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:A-
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:C+
低域の深さは十分で、中域は比較的前面におり、高域は高さは物足りません。
クリア感は価格の標準レベルか少し物足りない程度です。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:C+
- 個人的な好み:B-
Campfire SOLARIS 2020はオーディオスペックは悪くありませんが、サウンドバランスは万人向きではありません。価格帯の中では平均を少し下回る製品と言えます。
同じ価格帯にはUniqueMelody Maverick Tiや64Audio U6tといった無難な選択肢があり、よほどSOLARIS 2020の音が気に入ったでもない限り、それらを選んだほうが良いでしょう。ビルドクオリティでもこれらはSOLARIS 2020に劣りません。
優れた代替候補としてはOpenAudio Alkaidをおすすめします。より高い解像度、原音忠実度、定位感の正確性が期待でき、スケール感の向上も見込めるため、多くの人にとって、SOLARIS 2020のほぼ上位互換と言えるでしょう。
音質的な特徴
美点
- 奥行き感のある音場
- 上品でシック
- 重厚
- 深みのある低域
欠点
- 不足している高域拡張性
- 平面的に聞こえる中域
- 立体感に欠ける
- 不自然な質感
- 地味で発色の悪い音
奥行き感のある音場
上品でシック
深みと重さのある低域
Re:ゼロから始める異世界生活 プレシャスフィギュア レム スポーティサマーver.
『Re:ゼロから始める異世界生活』より、レムがスピード感あるスポーティなコーディネートで登場!
きらりと眩しい笑顔、爽やかな風を感じさせる衣服、白く輝く胸元。元気でにこやか、真夏の太陽のように明るいレムをお迎えしましょう!
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
今回はOpen Audio Alkaidのレコーディングシグネチャーも付属します。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Campfire Audio Solaris 2020
- OpenAudio Alkaid
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Campfire Audio Solaris 2020
- OpenAudio Alkaid
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Campfire Audio Solaris 2020
- OpenAudio Alkaid
総評
深みのある良質な低域と上品でシックな音が気に入るなら、Campfire Audio Solaris 2020は検討に値するかもしれません。しかし、それは音質の上では、一般的に価格帯の水準を満たしておらず、同じ価格帯のライバルたちのほうがより優れています。
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