免責事項
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BQEYZ Autumnの概要
こんな人におすすめ
- 解像度の高いサウンドが好き
- バランスの良いリスニング用のイヤホンが欲しい
- イヤホンの見た目重視
- コスパに優れたイヤホンが欲しい
基本スペック
- 周波数特性:7Hz~40kHz
- インピーダンス:46Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:9.0/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- バランスが良い
- 全体的な明瞭度が高く、解像度に優れる
- 比較的原音忠実度が高い
- ウォームサウンド
- 刺さりの少ないマイルドな高域
- ビルドクオリティが高い
短所
- 金属的な音
- 鮮明感に欠ける
- 深みに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
BQEYZ Autumnの特徴
- 大口径13mmダイナミックドライバーを搭載
- デュアルキャビティ音響構造
- 交換可能なチューニングベント(磁気構造)を採用
- ピュアなサウンドと広いサウンドステージを実現するプロフェッショナルなチューニング
- 5軸のCNC加工を施した金属製イヤーキャビティ
- 人間工学に基づいた快適な装着感
- 高品質な銀メッキと銅のハイブリッドケーブルを採用
BQEYZ Autumn:マグネティック・チューニング・フィルター搭載の最新シングル・ダイナミック・イヤホン
BQEYZは、トライブリッド・イン・イヤー・モニターの「Spring」シリーズで世界を驚かせました。Springシリーズの2モデル、Spring 1とSpring 2は、世界中のコミュニティから非常に素晴らしいレビューとインプレッションで迎えられています。BQEYZの3つ目の季節がHiFiオーディオの世界に到来し、全く新しいBQEYZ Autumnが誕生しました。
パッケージ(8.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリイングケース
- キャリングポーチ
- イヤーピース(2種類)
ビルドクオリティ(9.0)
外観のビルドクオリティは価格帯でも優れており、独自のマグネットチューニングフィルターシステムも含めてよくできています。
装着感(9.0)
装着感はかなり良好ですが、金属ハウジングのせいか少し硬い感触です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
BQEYZ Autumnは出力インピーダンスの影響はほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
BQEYZ Autumnはニュートラルを意識したマイルドなU字型といったサウンドになっています。中低域が盛り上がったリスニングライクな音になっており、原音忠実的なオーディオマニア向きとは言えませんが、ウォームなサウンドを好む人には悪くない選択肢でしょう。人によってはややきついほど鮮明感を押し出していたSummerに比べて、Autumnはだいぶマイルドになっています。
ここではノーマルでレビューしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A-
低域は比較的深くまで到達していますが、わずかに膨張的です。
マグネット式のチューニングフィルターが影響を与えるのは主にこの低域です。ベースフィルターでは量感はかなり強くなりますが、深さの点での改善は十分でないので、一般に低域はどのチューニングフィルタでもわずかに膨張的に聞こえます。ただレイヤリングに悪影響を与えるほどではなく、少しブーミーかなといったくらいなので、おそらく見通しが悪い印象はないでしょう。
個人的にはベースフィルターにしてもエレキベースの黒さが足りない気がしますが、このあたりは好みの違いかもしれませんね。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は比較的原音忠実的でわりとニュートラルに近くチューニングされています。全体的に明瞭性が高く、イメージングはきれいです。
適正音量では多くの場合、中域の心臓部は少し凹んだ位置におり、エッジ感に少し強調があるため、音像はややギザギザして聞こえます。
わずかにTinnyなサウンドに傾いているため、若干ガサつく感じが出やすいですが、ボーカルへのスポットライトの当たり方は明るめのため、ボーカルが聞こえづらいということはほとんどないでしょう。歯擦音もうまく抑えています。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域は拡張性が少し不足しています。
高域の伸びが十分でないので、鮮明感で劣るところがあり、金属的なギラつき感とエッジ感が強いわりに高域があまりはっきりしません。スネアのヒットを聴けば、シャープさに欠ける、鈍い表現になっており、力強さに欠けるのですぐに弱点が明らかになるでしょう。爽快感に欠けます。
個人的にはAutumnの抜けの悪いハイハット、スネアのやる気のない音を聴いているだけで、かなりうんざりさせられますが、刺さり感は出にくいので、このくらいのほうが良いという人もいるかもしれません。美点としては、シンバルやスネアが死んだように聞こえる代わりにボーカルへのフォーカスが相対的に良くなっています。それが面白いかどうかは別ですが。どちらにせよ快活で勢いのあるロックを聞きたいなら、AutumnよりSummerを選ぶべきです。
またこの高域の出来の悪さは定位感の悪化につながっています。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感表現は比較的正確なため、クラシックを楽しめないわけではないですが、同じ価格帯にMoondrop KATOという、より優れた対抗馬がいることを考えると、おすすめする理由が基本的にありません。最大の欠点は鮮明感の不足で、バイオリンをはじめ楽器音の音の抜けが悪く、全体的にわずかに金属的に聞こえるところです。
雅楽は少し甲高く聞こえる金属質な和音が好きなら悪くありませんが、正直抜けが悪いうるさい音なので個人的にはほとんど好みではありません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:A
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:B-
音場は中域で少し奥行きが強調されますが、高さも深さも標準かそれ以下です。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能はかなり優秀で、価格帯ではかなり良いように思います。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:B+
BQEYZ Autumnはオーディオスペック的には価格帯で上位に入るというか、全価格帯見ても比較的優れている機種ですが、インパクトに欠けます。ビルドクオリティは驚くほどですが、音質面では兄弟機のBQEYZ Summerの完成度とコスパに比べると、少し物足りないですね。
高域に欠点があるのですが、基本的にチューニングフィルターは低域にしか効果を及ぼさないので、その弱点を改善することができない点も少し残念なポイントです。
どちらにせよ、Moondrop KATOという強力すぎる対抗馬がいることを考慮すると、Autumnの全体的な出来は悪くないものの、価格帯ではニ番手以降におすすめする機種になります。すなわち、まずKATOを試してみてからがいいでしょう。ほかのライバルとしては、DUNU FALCON PROが挙げられます。
音質的な特徴
美点
- バランスが良い
- 全体的な明瞭度が高く、解像度に優れる
- 比較的原音忠実度が高い
- ウォームサウンド
- 刺さりの少ないマイルドな高域
欠点
- 金属的な音
- 鮮明感に欠ける
- 深みに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
解像度に優れる
バランスが良い
マイルドな高域
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- BQEYZ Autumn(normal)
- BQEYZ Autumn(Treble)
- BQEYZ Autumn(Bass)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- BQEYZ Autumn(normal)
- BQEYZ Autumn(Treble)
- BQEYZ Autumn(Bass)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- BQEYZ Autumn(normal)
- BQEYZ Autumn(Treble)
- BQEYZ Autumn(Bass)
海外レビュー
BQEYZ Autumnの海外での評価については以下の記事で紹介しています。
BQEYZ Autumn、Head-Fierが絶賛!?人気に火がつくか?
注目ブランド「BQEYZ」の最新作にしておそらく初?のシングルDDモデルが「BQEYZ Autumn」です。このAutumn、Head-Fiで高評価レビューが続いており、この年末、世界のオーディオファンの間でもっとも注目されている中華イヤホンの一つと言っても過言ではありません。
総評
BQEYZというと、どうしてもピエゾマルチハイブリッドに強いブランドというイメージがあったので、シングルダイナミックドライバーでの完成度は未知数で、個人的にはBQEYZ Autumnの出来を疑っていました。しかし、よくできたマグネット式チューニングフィルターと良好なオーディオスペックは価格以上であり、BQEYZがこの分野でも高い技術力を持っていることが確認されました。とはいえ、この価格帯には、さらに高い技術力で定評のあるMoondropとDUNUが音質とビルドクオリティに全力を傾けて投入した最新鋭のライバル機種がいるため、Autumnの存在感が薄くなりがちなことは否めません。
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