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beyerdynamic Amiron Wirelessの概要
こんな人におすすめ
- ウォームなサウンドが好き
- 充実感重視
- beyerdynamicファン
基本スペック
- 連続再生時間:30h
- 防水性能:なし
- 対応コーデック:aptX HD/aptX/AAC/SBC
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:7.5/10.0
- 低域:6.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:8.5/10.0
長所
- 奥行き感のある音場
- 鮮明感が高い
- 包まれ感がある
- 高い充実感
- ウォームで聴き心地が良い
- ブーミーで力強い
短所
- 正確でない質感表現
- キレが悪い
- 大幅に浅く、広がりで劣る低域
- 高域の拡張性に劣る
- 破綻した定位
beyerdynamic Amiron Wirelessの特徴
自宅でもケーブルに縛られない、贅沢な解放感。
『Amiron Wireless JP』は、beyerdynamic社が快適なホームリスニングを追求した2016年発売のAMIRON HOMEをベースに開発されており、柔らかな装着感と独自開発のテスラテクノロジーによる明瞭かつ豊かなサウンドを継承したBluetooth®対応密閉型オーバーイヤーヘッドホンです。
パッケージ(8.0)
パッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- AUXケーブル
- キャリングケース
ビルドクオリティ(8.5)
装着感は比較的快適です。重さも気にならないですし、耳付近の空間がわりと広く取られているので、密閉型ですが、すぐ蒸れるという感じではありません。
装着感(8.5)
イヤーマフは適度な厚みがあり、装着感はかなり快適です。耳当たりもよいですね。
接続品質
aptX HDでCayin N6II/E02と接続してテストしました。接続品質はそこそこ優秀です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟むと一瞬音が途切れますが、少し待てば接続が復旧します。ただしこの状態だと時々音飛びがあります。
ホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、ほとんど気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 本体の電源ボタンを長押しします |
電源OFF | 本体の電源ボタンを長押しします |
ペアリング | 電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
曲再生 | タッチパネルを2回タップ |
再生停止 | タッチパネルを2回タップ |
曲送り | タッチパネルを手前にスワイプ |
曲戻し | タッチパネルを後方にスワイプ |
音量+ | タッチパネルを上にスワイプ |
音量- | タッチパネルを下にスワイプ |
通話応答/終了 | タッチパネルを2回タップ |
通話拒否 | タッチパネルを2秒長押し |
音声アシスタント起動 | タッチパネルを2秒長押し |
アプリ
beyerdynamic Amiron WirelessはMIYアプリに対応しており、音質などを調整できますが、自由度は高くありません。サウンドパーソナライズは多少の効果があるので設定した方が良いかもしれません。イコライザーはわかりにくいところにあります。デフォルトのOriginal含め6種類のプリセットから選択する形式で細かなカスタマイズはできません。
MIYアプリで可能なこと
- サウンドパーソナライズ
- 聴取音量が大きすぎないか(音量ケア)の確認
- タッチコントロール感度の調整
- EQ
サウンドパーソナライズ
試してみました。私の場合高域が持ち上がるようで、音楽全体の鮮明感が増しましたが、中低域から中域下部のウォームな感じは改善されないので、イコライザーをV-Shapeにしたほうが中低域から中域下部の膨張感が抑えられるため、聴き心地が良かったですね。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
音質解説
今回はaptX HDでFiiO M15につないで、イコライザーはOriginal、パーソナライズはOFFにしてレビューしています。
beyerdynamic Amiron Wirelessは中域を重視したかまぼこフラット系のサウンドになっています。構造的には中低域から中域下部が目立ちやすいのが気になりますね。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(6.0)
- 原音忠実度:B+
- 臨場感:C+
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B+
Amiron Wirelessの低域は重みと太さは十分で重厚感はあるものの、深さに欠けるため引き締まりにかけ、腰高気味に聞こえます。
ドラムキックは重くはっきりと聞こえますが、ランブルに欠けるため、臨場感や生々しさに劣り、膨張的になります。エレキベースは黒さに欠け、厚みはあるのでエッジのブリブリ感はありますが、広がりが弱く、緩いぬるま湯のような音になりがちです。
レイヤリングも悪く、率直に言ってあまり評価するところのない平凡以下の低域です。
中域(7.5)
- 原音忠実度:B
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B
- 存在感:B
中低域から中域下部が強調されるため、中域の音像はやや濁って聞こえます。
充実感のある雰囲気で奥行き感も強調されてステージングもよいですが、質感で劣り、がさがさしたドライな中域です。一般に中域の広さを重視するbeyerdynamicらしい調整と言えますが、キレの悪さがかなり目立ちますね。
個人的な経験から言うと、beyerdynamicは開放型の場合はブランドのコンセプトがうまく作用してよい機種を作るんですが、密閉型では調整で失敗しやすく、駄作になりやすい傾向があります。
Amironもクランチ感が極端に不足しすぎて中域の立体感とディテールに大幅な悪影響が出ています。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D
- 繊細さ:C-
- 存在感:C+
一般に高域に不利な密閉型ですが、Amironの高域の調整はわりとまともです。密閉型らしい拡張性の不足があり、空気感はいまいちですが、鮮明感はかなり高く、低域とよく釣り合っています。
歯擦音は実際には少し強めですが、クランチ感が弱いせいで耳に痛い感じは出ません。
定位/質感
- 質感の正確性:C
- 定位の正確性:D+
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
厚みがあって充実感に優れますが、中域の透明度はいまいちで、中域は少しゴソゴソして聞こえますし、抜けが悪いので空気感もいまいちです。臨場感にも欠けるため、生々しさもなく、どんな曲を聴いても質の悪い録音を聴かされているようです。
雅楽も同様で音の広がりが悪くて生々しさに欠けるうえ、篳篥は歯切れが悪くて軸の力強さに欠け、少し太さがあるけど柔らかい、もやしのような音に聞こえます。充実感には優れているため、全体的に上品な雰囲気と肯定的に評価することも可能かもしれませんが、どちらかというと引っ込み思案な印象で面白みに欠けます。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:B+
- 中域:A-
- 低域:B-
低域の深さは物足りず、中域で奥行きが強調され、高域は高さが足りません。
クリア感は価格の標準を満たしています。
解像度は価格の標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:C
- 個人的な好み:D-
テスラドライバーをワイヤレスで提供するというbeyerdynamic自慢のAmironですが、音の印象は正直平凡以下ですね。サウンドパーソナライズを利用すれば全体の傾向は改善されますが、それでもレンジ感の不足が大きく、バランスも優れているとは言えません。beyerdynamicらしいゆったりした音が好きなら悪くありませんが、強くおすすめできるポイントがないですね。
音質的な特徴
美点
- 奥行き感のある音場
- 鮮明感が高い
- 包まれ感がある
- 高い充実感
- ウォームで聴き心地が良い
- ブーミーで力強い
欠点
- 正確でない質感表現
- キレが悪い
- 大幅に浅く、広がりで劣る低域
- 高域の拡張性に劣る
- 破綻した定位
奥行き感のある音場
包まれ感がある
高い充実感
Re:ゼロから始める異世界生活 レム アイドル Ver. 1/7スケール
『Re:ゼロから始める異世界生活』より、アイドル姿になったレムが1/7スケールで登場!
「貴方のために歌います!」
見ていて癒やされる優しい笑顔。頭に乗せたリボン付きのハットや各所に散りばめられた花型の装飾も繊細に表現しています。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用い、FiiO BTA30を使い、aptX HDでワイヤレス伝送しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- beyerdynamic Amiron Wireless
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- beyerdynamic Amiron Wireless
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- beyerdynamic Amiron Wireless
総評
beyerdynamic Amiron Wirelessは外観デザインが美しく、高級感があるヘッドホンです。サウンドもその見た目にふさわしく、力強く、包まれ感があり、充実感のあるリッチなサウンドを提供しますが、音質面では総じて価格の水準を満たしていません。
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