免責事項
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Behringer HPS5000の概要
こんな人におすすめ
- 持ち運びやすいヘッドホンを探している
基本スペック
- 再生周波数:20Hz-20000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:113.5dB
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:7.5/10.0
- 装着感:7.5/10.0
- 高域:5.0/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:6.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 明るく朗らか
- 良好なディテール感
- 良好な解像度
- 悪くない原音忠実度
- 充実感のあるサウンド
- ウォーム
- 重厚
短所
- 不自然な質感
- 不自然な定位感
- 構築感に欠ける
- 深みのない低域
- 高域の拡張性が不足している
Behringer HPS5000の特徴
HPS5000は、プロの現場で求められるバランスのとれたサウンド、高解像度、高い耐久性を実現した密閉型モニターヘッドホンです。レコーディングからリスニング用途まで、あらゆるシチュエーションで最適なサウンドを再現してくれます。
<特徴>
■超広範囲な周波数レスポンス
■明確な低音域と透明感のある高音域
■非常にワイドなダイナミックレンジ
■高能率なコバルトカプセル
■無酸素銅を採用したシングルサイドコード
■耳に心地よい卵型のイヤーカップ
■非常に丈夫なヘッドバンド
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の水準を満たしています。梱包は紙製で質素、処分しやすいのがいいですね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- 説明書
ビルドクオリティ(7.5)
ビルドクオリティは価格の水準を満たしています。全体的に少しプラスチッキーでややチープな印象を受けますが、価格を考えればこんなものでしょう。
装着感(7.5)
装着感は若干窮屈気味かもしれません。イヤーパッドが薄いので耳当たりはやや硬めです。私の場合、ちょっと長くつけていると耳が痛くなります。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Behrinnger HPS5000はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
Behringer HPS5000は中域中心部が凹んだM字型のようなサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(6.0)
- 原音忠実度:C-
- 臨場感:C-
- 深さ:B-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B-
Behringer HPS5000の低域は力感と重量感に優れ、重厚感はあるものの、深さはいまいちで腰高気味に聞こえます。
ドラムキックはわりと重いキックでインパクトがありますが、ランブルが少ないので生々しさには欠け、床鳴りが浅くトンタンしています。
エレキベースも黒さはそこそこ感じるものの、印象は明るく、広がりがいまいちです。
低域をモニタリングしたい場合はTASCAM TH-06を使うか、イヤホンを使ったほうがいいでしょう。
中域(7.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A
- 明るさ:A-
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域は中心部が少し凹んでいるものの、前面に出てきて明るく聞こえます。
透明度は比較的高く、明瞭度も優れている中域ですが、質感はそれほど正確ではなく、ややTinnyで鈍い金属的な音に聞こえる傾向があります。また、中域下部が盛り上がっているため、少し厚みが強く充実感に傾いており、ウォーム感も強く、中域の音像はぼんやりして聞こえがちです。
さらに、エッジ感はかなり足りないので、構築感がいまいちで、音楽の骨格がかなりふにゃふにゃして聞こえるのがモニターとして使う際に不満になりやすいでしょう。
ボーカルの子音は妙に柔らかく、活舌が少し悪く思えます。音量次第のところもありますが、シャウト感も少し目立ちやすく、うるさげに思うかもしれません。弦楽も引き締まりが悪く、ギターエッジもかなりぼんやりするので、ロックは精彩を欠き、色気が不足する傾向があります。スネアのキレも悪く、もたつきを感じるかもしれません。
高域(5.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D
- 繊細さ:C-
- 存在感:C-
HPS5000の高域の調整は少し荒っぽく、直線的でないのでバイオリンや木管などを聴くと、まっすぐきれいに伸びず、ゆらゆらして少しふらついて聞こえます。
そのせいで定位感はわかりづらく、フルオーケストラを聴くと、私は少し酔いを感じるくらいです。
精細感は十分にあるのでディテール感は悪くないのですが、中域の構築感の不足もあり、立体感が不自然です。
高域の拡張性は物足りません。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:D+
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
定位感がひどすぎてフルオーケストラ鑑賞には向きません。
雅楽も全体的にふにゃふにゃして聞こえて気色悪いです。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:B
- イメージング:A-
- 高域:A
- 中域:A-
- 低域:B-
低域の深さは物足りません。中域は前面に出てきます。高域の高さは不足しています。
クリア感は価格並みかそれ以上です。
イメージング性能は価格以上です。中域の解像度に優れています。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:D
- 個人的な好み:D-
Behrinnger HPS5000は定位感に欠陥を抱えており、中域の構築感と質感の再現度もかなり低いため、ほとんどモニターとしての用をなさないと思われます。
音質的な特徴
美点
- 明るく朗らか
- 良好なディテール感
- 良好な解像度
- 悪くない原音忠実度
- 充実感のあるサウンド
- ウォーム
- 重厚
欠点
- 不自然な質感
- 不自然な定位感
- 構築感に欠ける
- 深みのない低域
- 高域の拡張性が不足している
明るく朗らか
良好な解像度
充実感のあるサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Behrinnger HPS5000
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Behrinnger HPS5000
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Behrinnger HPS5000
総評
Behringer HPS5000は低価格で軽量な、ポータブル性に優れたモニターヘッドホンです。ただ、そのサウンドはとくに定位感と構築感に問題があるため、あまりモニター向きとは言えません。
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