免責事項
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Behringer HPS3000の概要
こんな人におすすめ
- 明るい音が好き
- 解像度重視
基本スペック
- 再生周波数:20Hz-20000Hz
- インピーダンス:64Ω
- 感度:110dB
- 価格帯:1000円~3000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:7.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 優秀な解像度
- 中域への適切なフォーカス
- 明るい音
- 透明度が高い
- 悪くない質感表現
- 実用的な原音忠実度
- 奥行き感のある音
短所
- 低域の深さで物足りない
- 不足気味の高域拡張性
- よくないレンジ感
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- 不自然な定位感
Behringer HPS3000の特徴
コバルトカプセル搭載により音のニュアンスを正確に再現。プロユーザー達の要求に確実に答えてくれる高性能ヘッドホンです。超広範囲な周波数特性で、厚みのある重厚な低域と透明感のあるクリアな高域を再現します。耐久性の高いヘッドバンドを採用し、ソフトな感触のイヤーパッドは装着感も抜群です。
<特長>
■超広範囲な周波数レスポンス
■明確な低音域と透明感のある高音域
■非常にワイドなダイナミックレンジ
■高能率なコバルトカプセル
■無酸素銅を採用したシングルサイドコード
■耳に心地よい卵型のイヤーカップ
■非常に丈夫なヘッドバンド
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。紙製でエコですね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- 説明書
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格の水準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Behringer HPS3000はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
Behringer HPS3000は中域を強調する中域充実型サウンドを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.0)
- 原音忠実度:C-
- 臨場感:D+
- 深さ:C+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:C+
低域用のモニターヘッドホンとしてのHPS3000の性能は平凡か平凡以下です。比較的リニアで素直に減衰する構造になっていますが、かなり浅い位置でロールオフするので、深い重低音を出すことができません。
低域をモニタリングしたい場合はTASCAM TH-06を使うか、イヤホンを使ったほうがいいでしょう。
中域(8.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:A
- 硬さ:A
- 存在感:B
HPS3000の中域は透明度で優れており、解像度が高いのは美点です。全体の中で中域はかなり前面に出てきます。
質感表現はほとんど自然に近いですが、やや音が硬く聞こえやすい傾向にあり、耳にうるさい傾向があります。透明度はモニターヘッドホンとして十分に使える優れた品質にあり、価格を考えると驚くほど優秀です。
中域の中心部付近はしたがって、それなりに優秀なものの、中域上部から中高域の作りが悪いのがこのヘッドホン最大の難点です。中高域が極端に凹んでいるため、音像一貫性に大きな課題を抱えており、定位感にかなりの悪影響が出ています。イコライザーでの調整なしでは、このヘッドホンを主力のモニターとして使うのはおすすめできず、信頼できない製品です。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C+
- 存在感:C
HPS3000の高域はモニターヘッドホンらしく精細度と鮮明感を重視しており、その点でかなり合理的なチューニングがされています。
問題はやはり中高域の不足です。奥行き感が過剰に強調される傾向があるので、エレキギターが奥に伸びていくように聞こえたり、バイオリンの軸がふらふらして聞こえたり、定位感の信頼性に大きな欠陥を抱えています。モニターヘッドホンとしては致命的な欠点でしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:D+
- オーケストラのテクスチャ:C-
- 雅楽のテクスチャ:C
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
HPS3000は高解像で比較的正確な質感で中域を表現することができるため、一見悪くないように思える可能性があります。最初はそこらへんの1万円クラス以上のヘッドホンより解像度が高いため、感動すら覚えるかもしれません。しかし、バイオリンや木管の音が遠ざかったり近づいたりして直立して聞こえてこないのに気付き始めると、肝心なところに不良を抱えたサウンドであることがわかってきます。このヘッドホンはフルオーケストラの鑑賞に不可欠な空間的調和の再現性に大きく劣っています。
雅楽もあまりお勧めしません。最初は比較的落ち着きのある丁寧な聞かせ方に思うかもしれませんが、すぐに奥行き感が強調されすぎていることに気づき、篳篥の音がまっすぐ伸びていないことがわかります。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:B
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A
- 低域:B-
低域の深さは少し物足りません。中域は前面に出てきます。高域の高さは標準以下です。
クリア感は価格を考えると標準を満たしています。
解像度は抜群に近く、ハイエンド並みです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:C
Behringer HPS3000は直前にレビューしたBehringer HC2000のほぼ上位互換といえる製品で、HC2000の致命的に悪い中域を改善し、低域の再現能力を常識的なレベル付近に向上したモデルです。HC2000よりこちらのほうが安価ですが、サウンド面では一般に、HPS3000のほうがはるかに優秀です。
高い解像度と悪くない中域の質感再現度など、Behringerがそれなりに勘所を押さえていることがわかりますが、楽器音の定位感にかなり致命的な問題があるため、モニターヘッドホンとして使うのはあまりおすすめできません。
ボーカルがディテールよく聞こえるため、ボーカルチェック用のサブモニターとしては検討する価値があるかもしれません。ただし、その場合でも、同じ価格帯で買えるHPX2000のほうがより優れている可能性があることは覚えておいてもいいでしょう。
音質的な特徴
美点
- 優秀な解像度
- 中域への適切なフォーカス
- 明るい音
- 透明度が高い
- 悪くない質感表現
- 実用的な原音忠実度
- 奥行き感のある音
欠点
- 低域の深さで物足りない
- 不足気味の高域拡張性
- よくないレンジ感
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- 不自然な定位感
優秀な解像度
明るい音
透明度が高い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HPS3000
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HPS3000
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HPS3000
総評
Behringer HPS3000は低価格でありながら高い解像度を実現しているモニターヘッドホンです。しかし、メインモニターとして使うには定位感の信頼性が低すぎるため、おすすめできません。
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