免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
Behringer HC2000の概要
こんな人におすすめ
- 明るい音が好き
- 解像度重視
基本スペック
- 再生周波数:20Hz-20000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98dB
- 価格帯:1000円~3000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:5.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 優秀な解像度
- 中域への適切なフォーカス
- 明るい音
- 透明度が高い
短所
- 全く出ていない低域
- よくないレンジ感
- モニター向きではない
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- 聞き心地が悪い
- ギンギンして耳にうるさい音
- 原音忠実度が低い
Behringer HC2000の特徴
BEHRINGER製、密閉型のスタジオモニタリングヘッドホンです。40mmのダイナミックドライバーにより、広い周波数特性を実現します。快適なパッド入りイヤーカップと、調節可能なヘッドバンドを備えたコンパクトなデザインを採用。
<特長>
■コンパクトタイプのスタジオモニターヘッドホン
■40㎜径ドライバーを搭載し、広い再生周波数帯を実現。
■密閉型ハウジングは、優れた遮音性能を誇ります。
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。紙製でエコですね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- 説明書
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格の水準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Behringer HC2000はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
Behringer HC2000は中域を非常に強く強調するスーパー中域充実型サウンドを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(5.0)
- 原音忠実度:C-
- 臨場感:D
- 深さ:C
- 重み:B-
- 太さ:B+
- 存在感:D
低域のモニタリングにHC2000を使うつもりなら、ほとんど役に立たないので、これを選ぶことは全く推奨されません。
低域をモニタリングしたい場合はTASCAM TH-06を使うか、イヤホンを使ったほうがいいでしょう。
中域(7.0)
- 原音忠実度:B+
- 厚み:A-
- 明るさ:S-
- 硬さ:A
- 存在感:B
HC2000の中域は透明度は優れており、解像度が高いのは美点です。
しかし、サウンドバランスが非常に悪く、明るさが異様に高いわりにウォーム感が不足しすぎで聞き心地が安定せず、キンキンうるさくなりやすい音です。
中域のモニタリング用途に使うなら、同じBehringerから出ているHPX2000という優れたモニターヘッドホンがあり、同じ価格帯ならこれよりそちらを使ったほうがはるかにマシです。
このヘッドホンの中域は強調されすぎて聞き疲れもしやすく、耳にうるさいので、個人的には全くおすすめできません。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:B-
- 脆さ:A-
- 荒さ:C+
- 繊細さ:B
- 存在感:D+
HC2000の高域は単体としてみると鮮明感を重視でチューニングされており、悪い印象を受けません。しかし、圧倒的に高い中域の明度に対して釣り合っているとは言い難いバランスです。もったいないですね。
定位/質感
- 質感の正確性:D+
- 定位の正確性:D
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
HC2000でフルオーケストラを聴くのは単純に苦痛です。定位感はめちゃくちゃ、質感は不自然で耳にギンギンキンキンするうるさい音でスケール感の悪い演奏を聞かせてきます。
雅楽も全くお勧めしません。篳篥の音が警笛のようにうるさく、心地が悪くて落ち着きません。和音も異様に甲高く、うるさく聞こえます。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:C
- クリア感:B
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A+
- 低域:C+
低域の深さは物足りません。中域は異様に前面に出てきます。高域の高さは優秀です。
クリア感は価格を考えると標準を満たしています。中域以上に限れば、かなり優秀です。
解像度は抜群に近く、ハイエンド並みです。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-
HC2000はモニターヘッドホンとしてふさわしい高い解像度を低価格で実現しているという点では優れていますが、サウンドバランスは基本的に破綻しています。モニター用としては信頼性が極端に低いだけでなく、音楽鑑賞用としても聞き心地の悪い音で快適に聞くことができません。
ここまでひどいヘッドホンはかなり久しぶりで、貴重な体験をさせていただきました。
音質的な特徴
美点
- 優秀な解像度
- 中域への適切なフォーカス
- 明るい音
- 透明度が高い
欠点
- 全く出ていない低域
- よくないレンジ感
- モニター向きではない
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- 聞き心地が悪い
- ギンギンして耳にうるさい音
- 原音忠実度が低い
優秀な解像度
明るい音
透明度が高い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HC2000
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HC2000
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Behringer HC2000
総評
Behringer HC2000をモニターヘッドホンとして買おうと思っているなら、全くおすすめしません。
コメント