免責事項
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Audiosense AQ4の概要
こんな人におすすめ
- 深みのある低域が味わいたい
- ボーカル重視
- 包まれ感重視
- 重厚感重視
- 没入感重視
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~22kHz
- インピーダンス:10Ω
- 感度:101dB/1mW
- ケーブルコネクタ:mmcx
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:6.5/10.0
- 中域:6.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- ボーカル音像が大きい
- 深みのある低域
- 上品で落ち着きがある
- マイルドで刺激の少ない高域
- ボリューム感に優れる
- 中域への適切なフォーカス
- 臨場感に優れる
- 没入感が高い
- 包まれ感がある
短所
- 音像一貫性に欠ける
- 破綻した定位
- 構築感に欠ける
- 高域の拡張性が足りない
Audiosense AQ4の特徴
- 10mm ダイナミックドライバーによる深みのある低域レスポンス
- 3基のBAドライバーによる鮮明な高解像度サウンド
- プロフェッショナルな3way周波数分割
- 3Dプリントされた樹脂製イヤーシェル
- 人間工学に基づいた軽量設計
- 高純度OFCケーブル
- ユニバーサルMMCXコネクター
パッケージ(8.5)
AQ4のパッケージはエコな紙デザインで処分が簡単です。内容は豪華で多数のイヤーピース、裏起毛の高級感のあるキャリングケースなどが付属します。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース(シリコン2種類、フォーム)
- キャリイングポーチ
- 説明書類
ビルドクオリティ(8.0)
装着感(8.5)
装着感は悪くありません。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Audiosense AQ4は出力インピーダンスの影響を全体的に少し受けるようですね。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース(黒軸)Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Audiosense AQ4は中域充実系のいわゆる「かまぼこ」サウンドを持っています。ただし、中域上部は抑えられているため、全体的に中域下部から低域のほうが強調されており、低域が目立ちやすい傾向があります。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A-
Audiosenseらしい深みに優れた低域で、十分に直線的でレイヤリングも良好です。
エレキベースは十分に黒く、バスドラムキックも重厚感があり、ランブルもかなりしっかりと感じられます。
低域好きを十分に満足させることが出来ます。
中域(6.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:A-
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域はかなり前面に出てくるようになっており、とくにボーカル音像が大きく聞こえます。
ステージングが強調されており、ボーカルが最前面で生き生きと聞こえ、それ以外の楽器が基本的に後退的に聞こえます。
中域が整理されて分離感が良くなっていると肯定的に評価する人もいるかも知れませんが、一般的には音像一貫性に問題が生じるので良くない調整です。エレキギターがとくに引っ込みすぎで、スネアに埋没しがちに聞こえます。
落ち着いて上品に聞こえる雰囲気ではあるので、悪くはないと思う人もいるかも知れませんが、異様に閉じた空間で音が響いているようで、真面目に聞くと不自然で色彩感も悪く、気色が悪い音です。適正音量ではボーカル音像が頭を囲い込むくらいの大きさに聞こえます。
高域(6.5)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B-
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:D+
高域は低域や中域に対してパワーバランスで劣っており、ディテールはすこし曖昧にされています。
歯擦音やピアース感など刺激的な要素は大幅に抑えられるので、マイルドで聞き心地は良いですが、空気感やディテール、実在感など多くの要素が犠牲にされています。高域の構造自体は比較的原音忠実的で悪くないのですが、量的な不足は如何ともし難く、それがまた、あまり品質の良くない中域を目立たせる結果につながっています。
定位/質感
- 質感の正確性:B
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:C-
- 雅楽のテクスチャ:C
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
重厚感は素晴らしいレベルです。しかし、定位感はまだ許容範囲にあるとしても、質感とディテールの悪さ、実在感で劣ります。ただし中域音像が大きくボリューム感と包まれ感は強いため、迫力と臨場感には優れています。異様に演奏が近すぎて聞こえる傾向があるため、奇妙でおかしなフルオーケストラですが、圧倒されるような勢いは感じられるでしょう。
雅楽も妙に近い篳篥の音が気になります。和音もうるさげですが、甲高さは抑えられているため、聞き心地は悪くありません。ただ全体的に窮屈に聞こえますね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:B+
- 低域:B-
音場は深さは標準以上で、中域で異様に奥行きが強調され、高さで大幅に物足りません。
クリア感は価格の標準を満たしています。
イメージング性能は価格帯の標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-
音質的な特徴
美点
- ボーカル音像が大きい
- 深みのある低域
- 上品で落ち着きがある
- マイルドで刺激の少ない高域
- ボリューム感に優れる
- 中域への適切なフォーカス
- 臨場感に優れる
- 没入感が高い
- 包まれ感がある
欠点
- 音像一貫性に欠ける
- 破綻した定位
- 構築感に欠ける
- 高域の拡張性が足りない
ボーカル音像が大きい
臨場感と没入感に優れる
包まれ感がある
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Audiosense AQ4
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Audiosense AQ4
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Audiosense AQ4
総評
Audiosense AQ3の名声を知っており、Audiosense AQ4にそのようなサウンドを期待して購入するつもりであるならば、今すぐ考え直す必要があるでしょう。その場合、買うべきはDT200です。また、Audiosenseブランドの真の魅力を知りたいならば、近い価格帯にはDT100、DT300、DT600というオーディオマニアを骨の髄まで楽しませるイヤホンが存在しており、そちらを買うほうが良いでしょう。
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