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AFUL Performer 5の概要
こんな人におすすめ
- サウンドバランス重視
- 音像一貫性重視
- ウォームなサウンドが好き
基本スペック
- 再生周波数:5-35000Hz
- インピーダンス:35Ω
- 感度:110dB
- ピンタイプ:2pin 0.78mm
- 価格帯:30000円~50000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:6.5/10.0
長所
- 音像一貫性に優れる
- 良好なサウンドバランス
- 重厚
- 聴き心地が良い
- 艶やかなサウンド
- 優れた原音忠実度
- 温かみがある
- ノスタルジックなサウンド
- 自然な倍音表現
- スピーカー的な定位感
短所
- 高域の伸びで物足りない
- 中域の透明度に欠ける
- 低域の量と深みは低域好きを満足させられるか微妙なところ
- 価格帯では驚きのないパッケージ
AFUL Performer 5の特徴
- 5ドライバーのハイブリッド構成
- 低域用パワフルダイナミックドライバー1基
- 高性能カスタマイズバランスドアーマチュアドライバー4基(中音用2基、高音用2基)
- EnvisionTEC高精度3Dプリント音響管構造
- 高減衰エアプレッシャーバランスシステム
- RLCネットワーク周波数分割補正技術
- 人間工学に基づいた軽量設計
- ユニークなデザイナーズフェイスカバー
Performer 5は、AFUL Acousticsの全く新しい5ドライバハイブリッド型インイヤーモニターです。強力なダイナミック型ドライバーと、自社開発のRLCネットワーク周波数分割補正技術により高精度にチューニングされた高性能バランスド・アーマチュア型ドライバーを左右に1基ずつ搭載しています。AFUL Acousticsは、人間工学に基づいた軽量なイヤーシェルとユニークなテクスチャーのフェースカバーを採用しています。AFUL Acousticsの様々な特許技術により、Performer 5はリスナーに質の高いパフォーマンスと印象的なサウンドを提供するために作られています。
特別に開発されたEnvisionTEC高精度3Dプリント音響管構造
AFUL Acousticsは、高品質の3Dプリント技術を使って、Performer 5のために精密な3Dプリント音響管構造を設計しました。その名も「EnvisionTEC音響管構造」。60mmの超長尺・超薄型バスチューブと30mmのミッドバスダクト構造を採用し、パワフルで叩きつけるような低音レスポンスを実現しています。異なる周波数間で適切な位相補正を維持することができます。
5ドライバーハイブリッド構成による比類なきサウンド
AFUL Acoustics Performer 5は、比類のないサウンドパフォーマンスのための5ドライバのハイブリッド構成を取得します。カスタムダイナミックドライバーと4つのバランスド・アーマチュアドライバーを搭載しています。ダイナミックドライバーはパワフルなローエンドを、バランスド・アーマチュアはクリーンなミッドレンジと正確なトレブルレスポンスを実現するために配置されています。
RLCネットワーク周波数分割補正技術
5つのドライバーによるハイブリッド構成を最大限に活かすため、Performer 5は自社開発のRLCネットワーク周波数分割テクノロジーを搭載しています。各ドライバーの正確な周波数分割を可能にするだけでなく、特定の周波数帯域における理想的でない周波数特性を補正し、ピークやムラのないスムーズな周波数特性をリスナーに提供します。
高減衰エアプレッシャーバランスシステム
AFUL Acoustics Performer 5は、高減衰空気圧バランスシステムを採用しています。装着時に外耳道内の空気圧を開放し、快適なリスニング体験を約束します。この特別設計の空気圧バランスシステムにより、Performer 5の低音の質感やスラム感も改善されました。
コンパクト&エルゴノミックデザイン
正確な精度と人間工学に基づいて設計されたイヤーシェルにより、Performer 5の快適性は最高レベルに達しています。このペアは、ほとんどのユーザーにとって超快適なリスニング体験を提供するために設計されています。
HiFiGOニュース
2018年に設立されたAFUL Acousticsは、ハイエンド性能のインイヤーモニターを手頃な価格で開発することに的確な焦点を当て続けています。革新的なR&Dチームとともに、AFULはその名の下に多くの異なる特許を取得しています。彼らは、「技術の真の進歩のみが、消費者に具体的な利益をもたらすことができる」というシンプルなコンセプトを堅持し、つまり、最終消費者に利益をもたらすさまざまな技術の開発を目指してきました。AFUL Acousticsは、クラスをリードする革新的なIEMでHiFiオーディオ業界に変化をもたらすために設立されました。
パッケージ(7.5)
AFUL Performer 5のパッケージは平凡です。この価格帯ではありふれたキャリングケース、色分けされた3サイズのイヤーチップセット、ありふれたマニュアル。
パッケージのクオリティは価格の標準を満たしていますが、それによって豪華な開梱体験がもたらされるというたぐいのものではありません。
きわめて普通の体験です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーチップ
- キャリングケース
- マニュアル類
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
フェイスプレートが美しいです。
Performer 5のイヤーシェルの黒い部分は若干指紋が目立ちやすい傾向があります。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
AFUL Performer 5はアンプの出力インピーダンスの影響を受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
AFUL Performer 5はバランスの良いニュートラルに近いサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B+
AFUL Performer 5の低域はこの価格帯では拡張性、見通し感ともに優れています。中域とのバランスも良好な水準です。
十分に直線的でしかも歪も非常に低いため、一般にAFUL Performer 5の低域はクリアで見通し良く聞こえます。
最も深い部分の重低域がやや弱く、ランブルなどは少し弱く感じられる可能性があり、もしかすると、低域好きにはキックの重量感もやや物足りない可能性があります。個人的にはもう少し重くインパクトの感じられるキックが好きですね。また引き締まり感はやや緩く、私にはわずかに膨張的に聞こえます。
エレキベースは十分な深みと広がりがあり、黒みも感じられます。
場合によって存在感とクリア感の差によって、中域よりやや印象的に聞こえる可能性が高い低域で、音楽全体のコントラスト感の起点として十分な役割を果たしていると思われますが、深さと量の両面で重低域マニアには物足りない水準かもしれません。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
AFULはPerformer 5の中域をニュートラルを意識してよく調整しており、多くの人にとってサウンドバランスの点で文句のつけようがほとんどないでしょう。低域と高域とのバランスも良好です。
ただし、この中域は全体の中で歪率が高くなりやすく、透明度で物足りない点で悩ましいところとなります。
Performer 5の中域は適正音量でもややノイズ感が強く、クリア感に欠ける印象で聞こえやすく、温かみが感じられますが、立体感や音像の描き分けの再現度はいまいちに思いやすいでしょう。
ボーカルや楽器音は付帯音が多めで、少しふっくらとした印象で聞こえやすく、背景との分離がいまいちに思える可能性が高いです。中域を重視するオーディオマニアはこの点、AFULを低く評価する可能性があります。
同時にAFULは高域上部に欠点を抱えており、ややエネルギーが足りないため、少なくとも私には繊細さに欠ける表現になりがちです。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C-
- 存在感:C
AFULはPerformer 5の高域をかなり滑らかに、自然な減衰感が得られるよう上手に調整しています。
多くの人にとって高さはやや不足気味であることが予想できるものの、それほど不足せず、悪くないと思う水準にはあるでしょう。ただ、シンバルクラッシュやハイハットの存在感はややきらめきが弱く、はっきりしない印象を私は受けます。
弦楽器や管楽器の非常になめらかで自然な倍音感で伸びていき、音像の一貫性に優れています。マルチドライバーハイブリッドとは思えないつながりの良さが感じられますが、高さは物足りません。
定位/質感
- 質感の正確性:S
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:A-
- 雅楽のテクスチャ:A-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
AFUL Performer 5は価格帯のイヤホンの中で、比較的オーケストラ向きと言えるイヤホンです。中域の透明度の不足は気になるところで、楽器音の質感にいまいちみずみずしさと生々しさが出ないのは難点ですが、倍音の響きは自然で、なめらかに空間に消えていきます。高域の伸びが悪く、スケール感は少し不足気味に思うものの、少なくとも平均以上の水準にあると評価できます。
雅楽は篳篥の音や笙の音に濁りが感じられ、かすれた感じが強く聞こえる傾向が気になりますが、倍音のつながりは良好です。天井感はありますが、総じて悪くないでしょう。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:C+
- イメージング:B+
- 高域:S-
- 中域:B+
- 低域:C+
低域の深さは標準かわずかに物足りず、中域は比較的前面におり、高域の高さは少し物足りません。
クリア感は価格の水準からすると、少し物足りません。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:B+
AFULがPerformer 5のチューニングに精魂を傾けたことはすぐに確認できます。滑らかでつながりのよい音像一貫性の感じられる楽器やボーカル、高域の丁寧な減衰によってスピーカー的な前方定位感をうまく再現した音場表現などにより、それはサウンドバランスの点ではほとんど文句のつけようがありません。
しかし、中域のクリア感の不足はAFULの今後の課題です。そのサウンドは単純に透明感に劣り、立体感の再現性がいまいちで、楽器がみずみずしく生き生きとは聞こえません。
聴き心地がよい温かみが感じられるものの、たとえばOpen Audio Mercuryとはことなり、その歪の度合いは快適な水準をやや逸脱しているように思われます。もちろん私がMercuryをより好むのは低域量も関係していると思われますから、単純にMercuryをPerformer 5の上位に置こうと意図しているものではありません。それでも私にとって、Mercuryの中域の方がPerformer 5のそれよりはるかに聴きごたえがあります。
音質的な特徴
美点
- 音像一貫性に優れる
- 良好なサウンドバランス
- 重厚
- 聴き心地が良い
- 艶やかなサウンド
- 優れた原音忠実度
- 温かみがある
- ノスタルジックなサウンド
- 自然な倍音表現
- スピーカー的な定位感
欠点
- 高域の伸びで物足りない
- 中域の透明度に欠ける
- 低域の量と深みは低域好きを満足させられるか微妙なところ
音像一貫性に優れる
良好なサウンドバランス
優れた原音忠実度
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- AFUL Performer 5
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- AFUL Performer 5
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- AFUL Performer 5
ザ・フューチャー・オブ・ハイブリッズ
AFUL Performer 5は、最後までソリッドで素晴らしいユニットです。エキゾチックな技術の応用は、WOW要素を浸透させるのに失敗しない音響性能に変換されます。私は、よりニュートラルなサウンドのIEMに固執しているのですが、P5は私を驚かせました。
総評
AFUL Performer 5はマルチドライバーでありながら非常に滑らかでつながりの良い音像一貫性の高いサウンドを実現しているイヤホンです。歪が多いという明確な欠点がこのイヤホンの評価を分けると思われますが、価格帯では比較的優れた選択肢でしょう。
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