免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
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Acoustic Effect TRY-01の概要
こんな人におすすめ
- 高歪&高解像のバランスドアーマチュアサウンドが好き
- アコエフファン
基本スペック
- 周波数特性:20-20000Hz
- インピーダンス:31Ω
- 感度:116dB
- コネクタ:リケーブル不可
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:7.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:5.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:6.0/10.0
長所
- 優れた解像度
- 明るい音
- モニター的な低域
- ぎらつきの強いグレアサウンド
短所
- 透明度に欠ける
- 構築感に欠ける
- 不快なぎらつき感
- 分離感が異様に悪い
- 締まりの悪い中域
- 聞き心地が良くない
- 高域の拡張性に欠ける
- 解像度を除けば、総じて1000円クラスのイヤホンに劣る音響性能とチューニング
- しょぼいビルドクオリティ
Acoustic Effect TRY-01の特徴
1磁極BAの世界トップブランドであるヤシマ電気とのコラボモデル
- ヤシマコラボ
TRY-01の製作にあたり、長年音響機器の製造に携わっておりますヤシマ電気に全面協力をお願いしTRY-01(Engineered by Yashima)が誕生いたしました。 - ハウジングデザイン(小型化)
いかに耳への装着感を少なく負担のないものにするか?を考え、出来る限りコンパクトな形状としました。 - プラグ付ケーブル
従来のYSMシリーズと同じように芯線は無酸素銅線を使用し、音響へのこだわりはそのままに今回のケーブル形状は平行ケーブルとし、プラグ形状はL型を採用しました。 - 音について
上記コンセプトを持ちながらもアコエフ本来のBAによるこだわりの音に仕上がっています。
パッケージ(7.5)
ビルドクオリティ(7.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。ただ、1万円以上するわりには高級感に欠ける印象を受けますね。イヤホンはケーブルと本体のコネクタにドットがあるほうが右です。LRはもっとわかりやすくしてほしいですね。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Acoustic Effect TRY-01はアンプの出力インピーダンスの影響を受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Acoustic Effect TRY-01は高域寄りの変形V字型サウンドシグネチャーになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S+
- 臨場感:B+
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
低域は比較的直線的でモニタースピーカーのようにストンと落ちるフラットな調整になっています。見通し感は悪くないですが、全体的に軽っぽい雰囲気になりがちです。
バスドラムは比較的深みがあり、引き締まりが感じられますが、重みに欠けます。タンタンした軽い音に聞こえますが、リズム感は分かりやすいですね。
エレキベースも引き締まりはよく、沈み込みは感じられますが、全体的に明るく聞こえて黒さで物足りません。
モニター的な音が好きなら悪くないかもしれませんが、低域好きには面白みが感じられにくい音です。
中域(5.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
Acoustic Effect TRY-01の中域はそれなりにニュートラルを意識しているようですが、中高域以上で直線性に欠けるうえにバランスドアーマチュア独特の透明度の低さもあり、安っぽく聞こえやすい傾向があります。解像度はかなり優秀です。
中域は明るさのわりに音が鈍く柔らかい感じがあり、分離感とキレが悪いわりに、妙にエッジがギラギラして聞こえるのが不自然で、私にはまったく心地よく聞こえません。スネアやエレキギターのあたりが気色悪く聞こえるので、とくにロックはよくないですね。
ボーカルは活舌が異様に悪く、引き締まりに欠けてゆるくぼんやりし、かなり曇って間の抜けた感じで聞こえます。この中域の出来は異様に良くなく、1000円のイヤホンを目隠しして買ったってこれよりまともな製品に当たる可能性が高いでしょう。一番リスニング印象に作用すると言ってもいい中域上部から中高域のスイートスポットの作りがとんでもなく下手です。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
中高域付近に異様にギラつく不快なポイントがありますが、それを除けば高域はわりとまともです。
1BAなので伸びもよくなく、拡張性は物足りないですが、精細感は十分にあり、ディテールに埋没感はありません。歯擦音はやや尖って聞こえる傾向があるものの、適正音量では露骨に不快という場面は少ないでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:A-
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
このイヤホンでフルオーケストラを聴くのはお勧めしません。中域は曇って濁りも強く、スケール感もよくありません。透明度も不足しています。
雅楽も同様の理由で全くおすすめしません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:C
- イメージング:A-
- 高域:A
- 中域:A
- 低域:B
低域の深さは標準並みで、中域は前面に聞こえ、高域の高さは物足りません。
クリア感は価格の水準に達していません。
イメージング性能は抜群に近いです。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-
おすすめしません。
音質的な特徴
美点
- 優れた解像度
- 明るい音
- モニター的な低域
- ぎらつきの強いグレアサウンド
欠点
- 透明度に欠ける
- 構築感に欠ける
- 不快なぎらつき感
- 分離感が異様に悪い
- 締まりの悪い中域
- 聞き心地が良くない
- 高域の拡張性に欠ける
- 解像度を除けば、総じて1000円クラスのイヤホンに劣る音響性能とチューニング
優れた解像度
明るくモニター的
高輝度
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Acoustic Effect TRY-01
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Acoustic Effect TRY-01
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Acoustic Effect TRY-01
総評
Acoustic Effect TRY-01はシングルバランスドアーマチュアドライバーモデルらしい、ハーモニクス豊かで高解像なサウンドを聞かせるイヤホンです。とはいえ、その音質はお世辞にも良いと言えませんし、1万円以上もする機種とは思えないほどビルドクオリティもチープに見えます。最近のKZの3000円以下くらいの機種のほうがまだ高級感があるデザインに思えるかもしれません。
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