ドイツ議会 直近1週間の主要動向解説(2025年4月16日)

先月新たに構成された第21回ドイツ連邦議会は、2月の選挙後の政治的緊張の中で、依然として完全な機能を取り戻すための課題に直面している。4月8日から15日までの期間、議会は正式な会期を開催していないものの、政党間の交渉や委員会レベルでの活動は継続している。

議会運営をめぐる与野党の対立継続

4月第2週は連邦議会の正式な会期が予定されていなかったが、これに対する批判が強まっている。AfD(ドイツのための選択肢)の議会グループ第一議会管理者ベルント・バウマン氏は、CDUとSPDが「議会の自己封鎖政策を継続している」と強く非難した4。バウマン氏によれば、2月23日の選挙後に一度しか集会していない新議会は「議会の冬眠状態」から脱し、中央委員会(Hauptausschuss)の設置を通じて完全な機能を回復すべきだと主張している4

これに対し、CDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)およびSPDは、政権樹立に向けた交渉を優先している姿勢を示している。2月の選挙で第一党となったCDU/CSUは連立形成に向けた協議を続ける一方、SPDは野党としての新たな役割への適応を模索している。

委員会設置の遅れが立法プロセスに影響

新議会は3月25日に初会合が開かれたものの20、主要委員会の設置が遅れており、これが法案審議に影響を与えている。2025年の議会スケジュールによれば、次回の公式会期は5月12日から16日に予定されている7。この間隔の長さが、選挙後の議会機能の空白を生み出しているという批判が各方面から出ている。

特に移民政策に関する法案の審議が停滞していることについて、AfDとリンケ(左派党)は共同で特別会期の招集を要求する可能性を示唆している4。両党は必要な定足数を満たすことができるとしているが、この動きは従来の「防火壁(Brandmauer)」と呼ばれる民主主義政党と極右政党の非協力原則に新たな亀裂を生じさせる可能性がある。

移民政策をめぐる議論の継続

2月の選挙後も移民政策は引き続き政治議論の中心となっている。1月29日に起きた前例のない出来事として、CDU/CSUがAfDの票を受け入れて移民政策強化の提案を可決したことは、ドイツ政治の一線を越えたものとして議論を呼んでいる6

当時シュルツ首相はこの動きを「タブーの破壊」と厳しく批判し、「民主主義政党と極右の間には協力がないという戦後史を通じたコンセンサスを破るもの」と述べた6。この緊張は選挙後も解消されておらず、移民政策は新政権形成の重要な争点となっている。

今後の見通し

今後のドイツ議会は5月12日から16日の会期で本格的な活動を再開する予定である7。それまでの間、委員会レベルでの準備作業や政党間協議が継続される見込みだ。CDU/CSUを中心とした連立交渉の進展や、政府形成の見通しが次回会期の主要議題になると予想される。

また、デジタル化政策も重要課題として浮上している。4月8日から10日にかけてはDMEA(デジタルヘルス分野の欧州最大のイベント)が開催され1、医療分野のデジタル化に関する議論が活発化している。新政権はこうしたデジタル政策への対応も求められている。

ドイツ連邦議会は2月の選挙後、まだ完全な機能を回復していない状況だが、5月の会期再開に向けて政党間の交渉や準備作業が水面下で進められている。特に移民政策と政府形成が引き続き中心的課題として残されている。

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